2020年は新型コロナウイルスのパンデミックという未曽有の年となり、スポーツ界でも多くの困難が訪れた。それでも、カタールからは2021年に向けて希望の光となるような話題も提供された。
2020年は新型コロナの影響により、フットボール界を含む多くのスポーツが停止を余儀なくされた。大きな大会の延期や中止、縮小を強いられ、スポーツカレンダーにも大きな影響を及ぼした。
アジアにおいても、ワールドカップ(W杯)とアジアカップの予選が延期に。2020年のAFCカップは中止となった。グループステージが中断したAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の行方も当初は不透明となっていた。
そんな中、2020年W杯の開催地でもあるカタールがフットボールの再開に一役買った。カタールは、ソーシャル・ディスタンス・プロトコルを制定し、選手および関係者のためのバイオセーフティバブル(安全に行動できる地域を確保するための枠組み)を導入。カタール・スターズ・リーグを安全に再開させ、ACLでも集中開催の地に。カタールで権威あるカップ大会であるエミールカップ決勝も開催した。
世界でも徐々にスタジアムにサポーターが戻り始め、プレミアリーグでは2000人程度の観客が入るようにもなった。カタールでは、ACL決勝、そしてアミールカップ決勝で1万人以上の観客を入れて、滞りなく開催を進めることに成功した。
ACLは規模としても大きなものとなった。W杯でも使用される3つのスタジアムに、計30チーム、延べ900人以上の選手が参加。2020年でも最大級のスポーツイベントとなった。
また、カタールのバイオセーフティバブルは多くの称賛を集めた。安全を考慮した移動や消毒作業、適切な医療スタッフの下、ソーシャルディスタンスを考慮したプロトコルが機能。カタールは開催した大会において、合計4万8323回にわたってコロナウイルス検査を実施した。
ACLで優勝した蔚山現代のキム・ドフン監督も「試合ごと、前日にコロナウイルスの検査を受けることで安心できた。地域の組織委員会とAFCに感謝したい。バイオ・セーフティ・バブルのシステムの下で外部からしっかりと隔離されていた」と満足感を示した。
2020年の大会で運営能力を示したカタールは、2022年のW杯に向けて進み続ける。今後も複数イベントが開催予定で、その機能性をさらに証明していく構えだ。2021年には2月にクラブ・ワールドカップをホストし、年末にはアラブカップも予定されている。
カタールW杯組織委員会のCEOを務めるナセル・アル・ハタル氏もアミールカップ決勝後、「今夜はこの地域の人々とカタールにとって非常に誇りに思えるものだった。これはACLの開催スタートを含め、多くの関係者が努力してきた集大成と言えるもの。多くの観客が安全にフットボールを楽しむことができた」と評価。以下のように続け、少しでも早く日常が戻ることに期待した。
「今後の大会も、より安全に開催できるようになっていけばいいね。世界がこのパンデミックを克服し、今までのようスポーツを楽しみ、生活できるようになることを心から願っている」
また、ACL決勝とアミールカップ決勝を観戦した国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長も、「この3カ月間、カタールは世界のフットボールを継続させるためにどのようにしていけばいいかを示してきた。新型コロナによるパンデミックの状況下でも、ファンはフットボールに関わることができている。カタールはこの状況下でフットボールを安全に再開させるためのベンチマークを設定してくれた」と口にし、カタールの運営能力を高く評価した。
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