2014年10月 4日 (土)開催 | 基盤教育研究分科会

大学教育における反転授業の実践 -企業教育への適用を考える

参加レポート: 山岡 敏夫

 今年になりテレビで特集が組まれるほど注目されている反転授業に関して、株式会社ハンテンシャの加藤氏から話題提供していただきました。テレビで取り上げられるのは、もっぱら高等教育での事例ですがDSCF2324.JPG、今回のわ談会の参加者は企業人も多く、企業での適用にも熱い視線が向けられていることが伺えました。
私自身、参加する前は、反転授業の大まかな進め方を知っているだけでしたが、加藤氏の説明と参加者メンバーとの議論を通して、手法・種類を知り、考えを整理することができました。今まで、反転授業に関して他の方と話すと、話が食い違う経験を何度かしました。その原因は、各人が反転授業の手法や種類を理解しないで話し合っていたのだと気づくことができました。

DSCF2336.JPGまた、加藤氏が最後に語ったヴィジョン「将来、学生が『昔、講義しかしない授業があたったんですか?!』と驚き発言する世界を目指したい」が、とても印象にのこりました。加藤氏からは、反転授業の歴史や国内学校での導入実績、予習動画の作り方まで多くの事をお話いただきました。
本レポートでは、私が特に印象に残った所を中心に報告させていただきます。



◆反転授業とその他教育手法との関わり

 反転授業には、広義と狭義があるとお話に納得し、現在、TVなどで取り上げられているのは狭義の反転授業なのだと認識しました。 狭義とは、事前に動画教材で、授業時に必要となる知識を学んでくる。そして授業を受けるというスタイルです。一方、広義とは、"動画教材"と限らず授業前に書籍や資料などで学習したり課題を解いたりした後、授業を受けるというスタイルです。違いは、動画教材を用いるのか用いないのかと捉えました。DSCF2342.JPG
過去の教育を見ても、広義の反転授業はやられてきているとのお話もされていました。例えば通信教育業界では、「独学+スクーリング」や「事前課題+集合研修」とったスタイルの教育も広義では反転授業の範疇とのことでした。 また、ブレンデッドラーニングという言葉もありますが、その言葉と反転授業の関わりは、ブレンデッドラーニングの一部に反転授業があると捉えました。ブレンデッドラーニングは複数の教育手法を組み合わせて教育を実施することを指します。例えば、Webで事前・事後のテストを実施+対面授業や、対面授業+通信での復習・フォローを実施などです。反転授業も事前の動画教材での学習+対面授業の組み合わせであるため、ブレンデッドラーニングの一種とのことでした。

また、今なぜ狭義の反転授業に注目が集まっているかと言うと、動画教材を作成・配信するインフラ環境が整ってきたこと。気軽に(簡単に無料で)動画を作成・配信できる事が、後押しをしているとのことです。
DSCF2349.JPGYouTubeなどを調べてみると、学校や塾の先生等が動画教材を沢山公開しているのを容易に確認できます。インフラが整い、ノウハウが共有されれば、ますます普及していくのだなという思いと、次の段階は、教材の品質が問われる時代がくるのだなと感じました。


◆反転授業のタイプ

 加藤氏は反転授業のタイプを大きく2つに分類されていました。個別学習型と共同学習型です。個別学習型は、知識を効率良く習得させることが目的で、イメージは公文式のようなものと説明されていました。 もう一方の共同学習型は、教室での授業時間は複数人で課題に取り組むイメージです。個別学習型と共同学習型で目指す学習目標がことなるため、事前の動画の内容や授業時間の使い方も変わってくるとのことです。反転授業を導入・実践するには、この辺り(目的・目標)をしっかりと明示しておくことが大切なのだなと認識しました。

◆動画教材のタイプ
 反転授業の重要項目である動画教材に関して、加藤氏はビジュアルデザインの視点で4タイプに分けて考えていました。4つとは、「スライド+講師が講義」「ホワイトボード+講師が講義」「スライド+解説吹き込み」「手書き+解説吹き込み」のタイプでした。動画教材の作りやすさやメンテナンス性、文字認識のしやすさといった視点からメリット・デメリットが整理されて示されていたので、とても参考になりました。私は今まで動画教材は一括りで考えていたので、4つのタイプを知ったとともに、教材を作る各人が置かれた環境や授業で取り扱う内容に合わせて選択する必要があるなと感じました。

◆学習動機と反転授業
 学習動機の二要因モデル(市川伸一)に反転授業を当てはめてみた場合、関係志向を喚起することが事前学習の実施率を高めることに繋がると加藤氏ご自身の持論をご紹介くださいました。関連して自尊志向の喚起も大切とのことです。具体例として、事前学習の進捗度合いや完了順位などを公開し周囲からの同調圧力などを活用していると実践のご紹介をいただきました。対面授業開始時にも事前学習へのフィードバックを行うことで、次回以降の事前学習実施率へ良い影響を与えるとのことでした。やはり、学習は独りで行うものではないのだなと強く感じました。

◆わ談会参加者によるワーク
 題材は「反転授業を行う教員の"行動規範"を考える」でした。各チームから以下のような行動規範が発表されました。
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・自律的に学ぶという行動を強化することを目的とするので、否定しない。教えすぎない。
・受講者全員が演習に関わることが重要。誰かが聞いているだけみたいな状況はなくすように働きかける。
・対面授業のみの場合、講師のその場の感覚で進行できたが、一部を授業時間外に出した場合は、全体の学習をデザインして取組まなければいけない。教員は授業デザインができ、なおかつその授業は透明である(公開できる)こと。

一方的な情報伝達しかできない教師の役割は終わり、教育のデザインや受講者の学びに積極的に関われる講師が必要なのだなと感じました。その他、反転授業の歴史や国内での導入事例、加藤氏の実践例など色々お話していただき、3時間と短い時間でしたが濃密な時間を過ごすことができました。

ある参加者から、既に企業研修として反転授業に取り組んでいると、情報提供いただきました。ただ現状は、労務上やセキュリテーの観点からまだまだ課題は多いという感想もいただきました。

以上



開催日 2014年10月 4日 (土) 14:00~17:00
学習テーマ

本わ談会では、昨今話題の「反転授業」を取り上げます。
大学や短大、専門学校向けに反転授業の導入支援を手掛ける株式会社ハンテンシャの加藤大氏をお招きし、反転授業の基礎から、「eラーニング」や「ゲーミフィケーション」「MOOC」との違いなどについて解説をいただきます。また最後に、「反転授業」を企業人教育に採用する価値があるのかを考えてまいります。

講 師 株式会社ハンテンシャ 加藤大氏
会 場

明治大学 駿河台校舎 紫紺館 S4会議室
千代田区神田小川町3-22-14
https://www.meiji.ac.jp/koyuka/shikonkan/copy_of_shikon.html

定 員 35名 ※最低催行人数:5名 開催1週間前までにお申込人数が、最低催行数に満たない場合は、中止とさせていただきます。 予めご了承ください
参加費 会員:¥2,000-(税込)   非会員:¥8,000-(税込)
開催概要

「反転授業は、なぜ日本の大学に適しているのか?」を主題に、反転授業の実践例、導入課題の紹介を行います。そして、「eラーニング」や「ゲーミフィケーション」「MOOC」との違いについて触れ、最後に、参加者の皆さまと「反転授業」を企業人教育に採用する価値があるのか、全体討議を行います。

Session1:反転授業とは何か
 反転授業の変遷
 反転授業のタイプ
 予習動画の体系
 「反転学習」と「反転授業」 など

Session2:反転授業は、なぜ日本の大学に適しているのか
 反転授業実践例
 教育段階による検証
 教科による検証
 学習動機による検証 など

Session3:反転授業と他の教授法・教育制度との違いは何か
 アクティブラーニングとの違い
 MOOCとの違い
 ゲーミフィケーションとの違い など

<進め方>
約30分の講義を3つ行います。
各講義内容について、グループディスカッションや質疑応答を行い、相互に考えを交えながら、反転授業の本質を考えていただきます。

■参考書籍
書名:Flip Your Classroom: Reach Every Student in Every Class Every Day
著者:Jonathan Bergmann, Aaron Sams
出版社:Intl Society for Technology in;New.版 (2012/8/15)
http://www.amazon.co.jp/dp/1564843157

■写真等記録情報の使用許諾のお願い
小会では、広報活動及び会員サービスの向上に活用するため、ビデオ撮影、音声収録、写真撮影、受講アンケートを実施しています。これら映像、音声、画像、コメント(以下、記録情報)は、小会の関わるWebコンテンツ及び紙媒体の配布資料等に活用させていただく可能性があります。
小会活動へのご参加は、記録情報の活用にご承諾いただけたものとさせていただきます。

支払方法と
領収書発行

■支払方法:当日会場受付時に現金支払

■領収書発行:領収書をご要望の方は、お申し込みの備考欄に「領収書要」と、ご記入ください。会社名(学校名)欄にご記入いただいた宛名で用意いたします。なおそれ以外の宛名をご希望の方は、お申し込み備考欄に、宛名を明記ください。

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