2014年7月15日 (火)開催 | 基盤教育研究分科会

研修改善を効果的に行う「インストラクショナルデザインの基礎」

参加報告レポート:HRDM副理事長 堤宇一)

DSCF2185.JPG本セミナーの講師を担当いたしました堤が、活動をレポートさせていただきます。

参加者数は14名様でした。企業の教育担当者、大学関係者、公共機関の教育担当者、コンサルタント、教育会社経営者など、今回も多彩な顔ぶれの方がご参加くださいました。

 

■本セミナーの開発趣旨

 筆者は、人材育成業務を行うための専門能力の一つとして「インストラクショナルデザイン(以下、ID)」は、必須の知識だと考えています。そのような理由から、熊本大学大学院 教授システム学 修士課程を修了しました。しかしながら、筆者個人の感想として、2年間の修士課程は相当な意志とやりきるパワーが必要だと感じました。

DSCF2189.JPG筆者は業務上、人材育成部門で研修業務に携わる多くの方々とお付き合いをしています。お付き合いを重ねる中で、企業での研修業務は、大学院で学ぶほどの専門能力を必要としないことが分かってまいりました。人材にかかわる課題を探索し、教育課題の設定は行いますが、それを具体的な教育プログラムに設計し、教材開発を行うようなことは、まずありません。ある程度の課題整理が済んだら、専門家である講師や教育会社に協力を仰ぎ、アウトソースします。またインストラクションについても同様に外部に委託することが一般的です。そのような業務内容であれば、大学院で学ぶような深い専門性を必ずしも必要としないかもしれません。しかし、すべてお任せでは、人材育成部門の存在価値がありません。DSCF2221.JPG

必要なことは、発注者として、社内の課題を正確に捉え、解決課題を設定し、専門家からより良い提案を受ける、あるいは提案内容を事実や理論に基づき判断し、効果性の高い研修へと共同で改善していくための知識や問題への対処能力だと思います。言い換えれば、IDの詳細な方法論ではなく、IDの本質的な考え方や鍵となる事項、良し悪しを判断するためのガイドラインが必要とされていると思います。そのような筆者の仮説を基に、本セミナーを企画・開発いたしました。

 

■本研修の構造

1)研修の概要設計方法を「ADDIEモデル」に沿って紹介

IDが提唱する研修の開発手順と各工程上のポイントを理解するために、小演習と講義を用いて進めていきました。研修開発&運営プロセス「ADDIEモデル」の「分析」と「設計」フェーズを中心に研修を進めました。

「分析」フェーズでは、DSCF2218.JPG特に研修設計の要となる研修ゴールの設定方法を中心に進めました。効果的な研修を開発できないという悩みを多くの研修担当者からお聞きします。その問題を発生させる主な原因は、研修のゴール設定の曖昧さです。例えば「グローバルで戦えるリーダーを育成する研修」というタイトルは、特に問題のあるタイトルには見えません。何となく想定する人材像や学習内容は予想がつきます。しかしその予想は、人それぞれで、互いの予想は千差万別であることは、容易に想像できるでしょう。専門家は専門家なりに、経営者は経営者なりに、人材育成担当は人材育成担当なりに、参加者は参加者なりに、自分勝手に合理的に想定します。その上、お互いの想像を披露し、すり合わせることはありません。ですから、いざ研修が実施されると想定内容と違う、必要学習事項が異なる、難易度が合わないといった問題が生じます。IDは、研修ゴールの明確化が研修設計の要であるとして最重要視します。明確化の方法は、「行動目標」「評価条件」「合格基準」の3要素を用いて文章化することです。

研修の中では、明確化演習を簡単なケースで実施いただきました。みなさん四苦八苦しておられましたが、実際にステップバイステップで行うことで、勘所を掴んでいただいたようです。コツさえつかめば問題ありません、あとは練習あるのみです。

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2)総合演習で学習内容の理解と実践への橋渡し

理論を小演習と講義を用いて4時間超学んでいただきました。総仕上げとして事例演習を3時間実施いたしました。学んだ理論の練習の機会として、また適用のコツを理解するための機会として総合演習を行いました。

総合演習では、「IDチェックリスト」を用いて、事例研修の問題点と改善のアイデア出しを行っていただきました。チェックリストを用いることで問題点を見つけ出すことはできるようになっていただいたようです。発表者の方に、問題とした根拠や問題現象を具体的に挙げるよう、さらに突っ込んだ質問を投げかけると、妥当な理由を説明できない参加者もいらっしゃいました。問題点を正確に捉えられていないと、効果を期待できる適切な対応策を打てません。

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今回は理論を、演習を中核に据え学んでいただきました。理論を学ぶのは容易いことですが、それを自分のものにし、自己業務に活用するのは簡単ではありません。使いこなし実践知を蓄積していく必要があります。スタートラインについたという気持ちで、ぜひ実践への第一歩を踏み出していただきたいと願います。 

以上

開催日 2014年7月15日 (火) 09:45~18:00
学習テーマ

勘や経験による研修改善からID理論を用いた研修改善へと転換する。IDの基礎理論(概要)の紹介と研修改善演習によるIDの実践応用力の強化を図る。

【学習目標】
1.事例を「IDチェックシート」や「研修企画概要書」を用いて、IDの観点から合理的な改善点や改善策を整理できるようになる(知的技能)。

2.学んだID理論を自分の研修に活用したくなる(態度)。

学習目標

1.事例を「IDチェックシート」や「研修企画概要書」を用いて、IDの観点から合理的な改善点や改善策を整理できるようになる(知的技能)。

2.学んだID理論を自分の研修に活用したくなる(態度)。

講 師 人材育成マネジメント研究会 副理事長 堤宇一氏
会 場

明治大学 駿河台校舎 紫紺館 S2会議室
千代田区神田小川町3-22-14
https://www.meiji.ac.jp/koyuka/shikonkan/copy_of_shikon.html

定 員 15名 ※最低催行人数:4名 開催1週間前までにお申込人数が、最低催行数に満たない場合は、中止とさせていただきます。 予めご了承ください。
参加費 会員:¥20,000-(税込)   非会員:¥30,000-(税込)
参加対象者

本セミナーは、以下に示す業務経験ならびに業務権限を有した人材育成従事者を想定して開発されています。

■担当する研修を持ち、自分の権限内業務として改訂活動が行える。
■教育ベンダーや担当講師に研修の内容や方法に関する指示や依頼、打合せなどを業務として行っている。
■研修開発を実施した経験を有している。
■組織内で、現在、人材育成に携わっている。

開催概要

研修を設計し、教材やツールを開発し、それをインストラクションするという研修の全業務を行う人材育成担当者は、まず存在しません。それが実情であれば、大学院で身につけるような深い専門知識を習得する必要性は薄いと考えられます。必要な能力は、研修発注者として、理論や事実に基づき依頼や指示を行い、専門家からの提案や研修の問題点を合理性を持ち検討し、改善アイデアを提示する能力です。
本セミナーは、ID理論の本質的な考え方や鍵を握る事項を掴み、それを実践に適用するスキルの強化に注力して進めます。

<学習項目>
1.パフォーマンス向上と研修(研修の効用と限界)
  研修の実施目的
  パフォーマンスの低減要因

2.インストラクショナルデザイン(ID)の概要
  IDの定義と研修設計のシステムアプローチモデル(ADDIEモデル)
  研修設計&開発の全体概念モデル
  ニーズ分析・特定
  学習目標の明確化の3要素と手法
  学習成果の分類手法
  学習者・コンテキスト分析
  評価(3種類のテスト、評価の種類)
  学習項目の構造化(学習内容の洗出し)
  学習目標の系列化(学習の順序)
  指導方略(手段・展開・環境/ガニェの9教授事象)と学習モチベーション(ARCSモデル)

3.研修改訂の総合演習(ID理論の活用)
  IDの観点からの評価
  改善策の検討

■参考書籍
「教材設計マニュアル-独学を支援するために」 鈴木克明著 北大路書房

■写真等記録情報の使用許諾のお願い
小会では、広報活動及び会員サービスの向上に活用するため、ビデオ撮影、音声収録、写真撮影、受講アンケートを実施しています。これら映像、音声、画像、コメント(以下、記録情報)は、小会の関わるWebコンテンツ及び紙媒体の配布資料等に活用させていただく可能性があります。
小会活動へのご参加は、記録情報の活用にご承諾いただけたものとさせていただきます。

支払方法と
領収書発行

■支払方法:当日会場受付時に現金支払を原則とします。

■領収書発行:領収書をご要望の方は、お申し込みの備考欄に「領収書要」と、ご記入ください。会社名(学校名)欄にご記入いただいた宛名で用意いたします。なおそれ以外の宛名をご希望の方は、お申し込み備考欄に、宛名を明記ください。

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