2013年11月16日 (土)開催 | 基盤教育研究分科会

【シリーズ】シナリオメソッドを活用したケース(ストーリー)作成スキル向上セミナー(全2回)

 第2回活動レポート:人材育成マネジメント研究会 副理事長 堤宇一

 残念ながら今回は、セミナー参加者全員がケースを完成させることができませんでした。8名中6名の方がケース作品を仕上げ、第2回目の「発表&相互フィードバック」に参加いただきました。DSCF2024.JPG発表会にご参会いただきました皆さん、お疲れ様でした。
第2回目の様子を事務局の堤がレポートいたします。

■第1回目の学習の狙い
 第1回の主要な学習点は、次の2点です。1点目は、教育プログラムの中で、学習活動としてケースを用いる意図の明確化とケース演習によって行う学習課題の整理です。これは、インストラクショナルデザインを基礎理論として教育プログラム全体とケース演習との相互関係を整理し、研修設計シートに整理いたしました。2点目は、ケースの組み立て方です。(読み手にとって)魅力的なシナリオやケースは、どのような構造なのか「シナリオライティングの黄金則‐金子満先生」と柴田先生の研究を交え解説いただいた後、実際のドラマや映像を題材に詳細な解説をいただきました。ケースの質感、キャラクターの設定、リアル感といった作り手が工夫すべき重要点をご紹介いただきました。

■第2回目(発表会)の狙い
 
第1回で設計したケースを実際
に書き上げ発表するのが第2回の位置づけです。でも発表が目的ではありません、教育ツールとして効果的で魅力的な作品にブラッシュアップするための相互フィードバックが、第2回目の狙いです。他者の作品から学ぶ方法として、モデルとして優れた点を学ぶことが挙げられます。自分自身が上手くでDSCF2028.JPGきなかった点を、他者はどう克服したのか実例を見ることがそれに当たります。もう一つが、建設的な批判を通して学ぶという方法です。モデルとして優れた点を学ぶだけでなく、具体的には他者の作品の工夫点や改善点を見つけ出し、アドバイスを通じて思考訓練を行い、創造力を高めるという方法です。特に第2回目では、その点を意識しています。

■発表6作品のタイトル
 発表いただいた6作品のタイトルとポイントは、以下の通りです。
1)社内コミュニケーション:
 申請書類の紛失が発端になり、部内コミュニケーションの問題がクローズアップされる総務部の物語
2)新人営業マンの育成「マネジメント変革シナリオ」:
 新人営業パーソンが、企業のコンサルテーション活動を通じて、自社のコンサルテーション技術やノウハウの本質を理解していく物語
3)新任管理職「斎藤誠の奮闘」:
 管理職就任半年の営業課長が、年上の部下や独り立ちできない若手社員、やり手の中途入社の社員等のチームを率い、部門運営に奮闘する職場マネジメント物語
4)株式会社アドネイチャーの評価制度改革:
 3人の部下を持つ課長が、目標管理面談を通じ、メンバーの設定した業務目標や目標に対する考え方に四苦八苦する物語
5)寿チェーン海外展開戦略:
 海外スタッフを交えた社内ミーティングで、日本的サービスの「おもてなし」の精神とマニュアルを越えたサービスなどを考え合う会議物語
6)自己のリーダーシップの変容と人間としての成長:
 45歳の男性が、会社の上司・部下との会話や家庭内での妻との会話、子供の頃の夢などを、ある切掛けから見つめ直し、自分らしい人生とは何かを考える物語

■水平的学習を促す効果
 ケース学習の利点は、様々あります。断片的な知識を総合的に統合する機会を提供することが出来るのはその一つです。学習者のレベルにあった難易度の試練を与えることができるのも利点です。実際の場面では、育成対象者の経験や能力に適した課題が都合良く出現する事などありません。難問で歯が立たなかったり、簡単すぎて学びがなかったりします。育成に最適な課題を提供できるというのは、人材育成にとってこれほど都合が良いことはありません。他にもあります。ある出来事やシーンを多様な観点から考える事が出来るという利点があります。一般に人は、主観で出来事を捉え、理解します。そのため、他者がどう感じているのか、それが起こった真の原因を考えることなく、表面的な判断で結論を導いてしまいます。しかし、ケース学習は、通常では不可能な「神の視点」で全体像を捉えることを可能にします。神の視点で全体を捉える訓練は、越境学習がもたらす「水平的学習」を促す効果を期待できるのです。

 DSCF2033.JPG2回にわたり熱心な講義をいただきました柴田先生、お忙しい中ご参加いただき、作品を完成させていただきました参加者の皆さまありがとうございます。感謝申し上げます。


以上

 

第1回活動レポート:HRDM会員 宮本衣里

今回は「内部で実施する新入社員や若手研修、管理職研修、営業研修などに使用する『簡単なケース(A4用紙2枚~5枚程度)』を作成できるようになる」ことをゴールに、2回に分けて、学習します。DSCF1999.JPG

第1回のアウトプットはケースそのものではなく、「教材開発設計書」の作成です。インストラクショナルデザインの考え方・ADDIEモデル(分析→設計→開発→実施→評価)の中で、今回は分析から設計までを行いました。

まず、印象的だったのが、開講まもなく1970年代にイギリスで人気を博したコメディ「モンティ・パイソン」を鑑賞し、オープニング映像を見て、出演者の「It's・・・」というセリフに印象的な訳をつけるというワークです。正体不明の浮浪者が海を泳ぎきったときに発する一言なのですが、「始まるよー!」や「お腹減った」「これで駅まで10分」などいろいろなアイディアが飛び出しました。「文脈から飛べば飛ぶほどセリフは面白くなりますが、その分確実性が損なわれる面もあるので、両極端に振ったセリフを書いてみて、その間を取るなど工夫が必要である」と講師の柴田さんからアドバイス。受け手の心をつかむセリフを考え出す難しさと面白みを体験しました。

次に実際に「教材開発設計書」を作成しながら、ワークを進めていきました。今回目指すのは、学習課題が適切、且つ、物語としての魅力の高い「役に立って、面白い」教材です。まずはテーマ、ゴール、対象者分析を設定しました。ケース学習の強みは、ガニエの学習課題の5分類(①言語情報、②知的技能、③認知的方略、④運動技能、⑤態度)の中で、特に②知的技能(規則を未知の事例に適応する)と⑤態度(ある物事や状況を選ぼう/避けようとする)の強化に向いている点を確認した後、それぞれ学習テーマを考えました。参加者からは「非管理職に経営理念を浸透させ、自分の言葉で語れる状態になって欲しい」や「新任管理職にマネジメントの原理原則に則って判断できるようになって欲しい」など十人十色なテーマアップがありました。
次に、主なカリキュラム構成、問題の所在(ゴール達成に向け、あえてケースを使おうと思う理由)、ケースの利用イメージ(ゴール達成に向け、ケースをどう使うか)を設定し、参加者同士で共有し、フィードバックしあいました。

             DSCF1986.JPG       DSCF1997.JPG

つづいて、背景世界と登場人物を設定しました。文芸評論の場合は、作品から要素を分析し、評価しますが、ケース作成の場合は要素から作品を組み立てていきます。作成にあたり、登場人物のキャラ設定やケースの背景設定は非常に重要な要素となります。世の中で知られているキャラクターの特徴を柴田さんから解説いただきました。「登場人物のキャラ設定がしっかりしていれば、後は勝手にキャラクターがしゃべってくれる」という柴田さんの言葉が印象的でした。

いよいよケースの骨組み作りです。しかし、その前に、アニメ「ちびまるこちゃん」の短編を鑑賞しました。鑑賞後、どのような物語だったか、筋立て(○○が、○○して、○○する)と描写(○○な話)で端的に言い表すワークを行いました。事実を端的に述べるだけではなく、「女の子が、お父さんと飲み屋に行ってお父さんの意外な面を知る心温まる話」など物語の質感が伝わる表現にすることがポイント。

最後に、自分の作品の質感、筋立ての細部設計後、作成上のヒントを柴田さんからいただき、第1回は終了しました。
次回は今回の設計を基に作成した作品の品評会を行います。約1ヶ月間の間に、皆さんがどのように作品を仕上げてこられるか、楽しみです。

開催日 2013年11月16日 (土) 13:00~19:00
学習テーマ

研修やeラーニングに「ケース」を用いることは昔から行なわれています。最近では、学習コース自体をストーリー仕立てに設計するという試みが、色々なところで展開されています。ケース(ストーリー含む)を用いるメリットは、多々ありますが、なかでも教育提供側のメリットは、学習者の能力レベルに合った課題を提供できる、シナリオに感情移入をさせ、態度教育に効果が期待できることだと思います。本セミナーは、映画シナリオの設計法則とインストラクショナルデザインを融合し、普通の受講者(社員)を、学ぶ気にさせるケース開発を行なう実践ワークショップです。
昨年の参加者は、全員が良質のケース開発に成功し、大評判をいただきました。御好評を受けての再開催です。

【第1回】 2013年11月16日(土) 13:00-19:00(6時間)
【第2回】 2013年12月21日(土) 13:00-18:30(5.5時間)

<参考書籍>
「シナリオライティングの黄金則 -コンテンツを面白くする-」 ¥ 3,990
金子 満 (著), 長尾 康子 (編集)  ボーンデジタル (2008)

学習目標

研修やeラーニングで実施する新入社員や若手研修、管理職研修、営業研修などに使用する「簡単なケース(A4用紙2枚~5枚程度)」を作成できるようになる。

講 師 産業医科大学 産業医実務研修センター 准教授 柴田喜幸氏
会 場

【第1回】 明治大学 駿河台校舎 紫紺館 S4会議室
【第2回】 明治大学 駿河台校舎 紫紺館 S2会議室

千代田区神田小川町3-22-14
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

定 員 15名 ※最低催行人数:4名 開催1週間前までにお申込人数が、最低催行数に満たない場合は、中止とさせていただきます。あらかじめご了承ください。
参加費 会員:¥18,000- /2回分(税込)  非会員:¥32,000- /2回分(税込)
参加対象者

本セミナーは、以下に示す条件を満たした方を想定して設計されています。

条件1:企業・団体(学校、病院など)で人材育成に携わり、研修などのインストラクションを行った経験を複数回有している。

条件2:企業内人材育成のコンテンツ開発の経験を有している。
(但し、上記は参加必須条件ではありません)

開催概要

成人学習に関する本を読むと「必要なものは、喜んで学ぶ」という暗黙の前提が漂っているように感じます。しかし、現実はどうでしょうか? その教育が、仕事上必須だからといって、喜んで学ぶ社員は稀ではありませんか?意欲のある社員は、研修などを待たずに書籍などから独学で学んでいるというのも現実ではないでしょうか?
本セミナーでは、「フツー」の受講者=社員を、少しでも学ぶ気にさせるケース開発を行ないます。ケース作りを通じて、映画のシナリオ設計法則やインストラクショナルデザイン理論を体験しながら学習します。

■参加条件
全2回ご参加いただけること。本セミナーは、2回で1セットとして設計されています。

■進め方&カリキュラム
本セミナーは、2回を1セットとして開催します。第1回は、インストラクショナルデザインの鍵となるADDIEモデルと用いて研修の全体設計とともに、シナリオ作成の黄金則13のロットを用いて、事例の素案の開発を行います。そして、第2回は、作成事例を精査し、それをクラス全体で発表会を行い、各人の事例内容の評価と共有を行います。

<第1回カリキュラム>
1.オリエンテーション
2.ケース・シナリオを用いての学習意義と用途
3.教材作成の設計書作成
4.シナリオのイメージ決定と設定の整理
5.粗筋の作成
6.シーンとカットの作成
※シーンとカットが完成しなければ、次回までの宿題

<第2回カリキュラム:ケース・シナリオの品評会>
1.前回の振り返り
2.出展作品の紹介と品評会の準備
3.品評会の実施
4.評価とコメント 、フィードバック

■参考書籍
「シナリオライティングの黄金則 -コンテンツを面白くする-」¥ 3,990
金子 満 (著), 長尾 康子 (編集)  ボーンデジタル (2008)

■写真等記録情報の使用許諾のお願い
小会では、広報活動及び会員サービスの向上に活用するため、ビデオ撮影、音声収録、写真撮影、受講アンケートを実施しています。これら映像、音声、画像、コメント(以下、記録情報)は、小会の関わるWebコンテンツ及び紙媒体の配布資料等に活用させていただく可能性があります。
小会活動へのご参加は、記録情報の活用にご承諾いただけたものとさせていただきます。

支払方法と
領収書発行

■支払方法:当日会場受付時に現金支払

■領収書発行:領収書をご要望の方は、お申込の備考欄に「領収書要」と、ご記入ください。会社名(学校名)欄にご記入いただいた宛名で用意いたします。なおそれ以外の宛名をご希望の方は、お申込備考欄に、宛名を明記ください。

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申込後のキャンセルは、早めにご連絡ください。開催の5日前より以下のキャンセル料金が発生いたします。なお、キャンセル料に関しては、後日請求となります。

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