2013年8月31日 (土)開催 | 基盤教育研究分科会

行動変容(L3)の測定手法「フローモデル」とその実践事例の紹介

参加レポート報告  HRDM会員 廣野勝利

「行動変容(L3)の測定手法「フローモデル」とその実践事例の紹介」と題して、カークパトリックモデルでいうレベル3(行動変容)を測定するための理論と実践を学びました。

話題提供者は、ビジネスリサーチラボ取締役 伊達洋駆さん、NECラーニング営業本部マーケティングGシニアエキスパート 鈴木智子さんのお二人です。

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参加人数が26名と盛況で、このテーマに対する関心の高さがうかがえました。
冒頭は、副理事長の堤さんからHRDMの主旨が改めて(熱を込めて!)再確認されました。
HRDMは学び合う仲間、講師と受講生という上下の関係性ではない、など。

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 1日を通して、個人的に学びになったっと思うのは、L3の効果測定は社内政治の要素が強くなってくるということでした。
L3を測定すると「研修をやったが、変化が無い」という不都合な事実も浮き彫りになる可能性があります。
それでも関係者を説得して、客観的な事実を記録していくことが、人材育成の高度化と信頼性の担保に貢献するのだと、改めて感じました。


以下、印象に残った話題を抜粋してご紹介します。


■第1パート:フローモデルとは何か?(伊達さん)

・科学的なモデルを実践の場に導入するときの難しさを伝えたい。
・フローモデルは、まだ発展途上のモデルである。

・「効果」とは、意図した変容を指す。意図がなければ変化は起こりにくい。

・産能大の調査では、L3(職場活用)を実践している企業は12%に留まっている。

→「研修って意味あるの?」問題
※研修は「組織のパフォーマンスが向上したり、個人の行動変容促すことが出来るのか」という本質的な問い掛けのこと。
・L3測定の実施率が低い3大理由
①測定方法が分からない
②コストがかかりそう
③効果が出にくい

・「研修効果は時間とともに下がるという仮説」を前提にフローモデルを開発。
→開発の手続きは、実際に職場で行動を起こした人の観察調査、インタビュー、アンケートを分析し開発した。
→フローモデルのプロセス:【訓練】⇒【試行】⇒【反復】⇒【共有】
→試行フェーズに行くまでが大変

・完璧主義にならずに、先ずはやって見る。やらないよりもやったほうが良い。
→受講者アンケートで測り、まずはグラフ化し全体を捉える。可視化することが大事である。

・研修者の開発モデルが実践の場に普及しない理由は、研究者は「なぜ?」を問い、そして答えらしきもの(モデルがその代表)が完成したら満足し、それ以上の実践研究へと展開しなくなるから。
→しかし、現実問題として、モデルだけ提示されても実務で使えない。
→実務現場では、厳密性についてはほどほどでかまわない。重要な事は使えるツールであること。


■第2パート:フローモデルでどのように測定するか?(伊達さん)

・効果計画が無いケースが多い。効果計画とは、いつまでに、どのような変容を起こすのかという見当のこと。効果計画が立案されることなく研修が実施されている場合が多い。
→効果計画は研修コンテンツの開発に影響する
→効果のマイルストーンを明確にする
→時間感覚が大事。
→測定時期は、研修の目標により、一概に決められない。
・効果計画シートの作成。
→研修設計者が、職場で起こることをイメージすることが大事である。

・「効果」はステークホルダと合意する必要がある。
→設計者だけでは考えられない(決められない)。
→受講者に聞いてみるのも効果計画立案の1方法である。

・アンケートは、まずはクオリティを気にせず「書いてみる」こと。
→細かいチェックや高度化は後でよい。

・なにかを「知る」=そのことの限界を知ることもつながる。
→アンケートだけで全ては分からない。でも、出来るところまでは可視化する。

・アンケートは「記名」「無記名」?
→効果を見るので、回答者がどうしてもセンシティブになる
①質問項目で工夫する。
②配布・回収・分析を第3者が行う(人事は結果のみ見る)。

・まずは可視化する(グラフ化)。
→高度な分析がしたいという欲が出てきたら、専門家にお願いする

・効果計画と、測定結果をもとに「人事」「ベンダー」などとコミュニケーションをとることが大事な点。
→なかなか突っ込んだ議論をする機会が少ない。

・Evidence-based Management
→とはいえ、厳密な理論構築まで行かなくても良い。
→研究者:なぜ?を問う。実務家:どのように?を問う。

・テイラーの「科学的管理手法」
→Why?(理論)だけでなくHow(実践)まで示している。それでもまだ問題はある
→フローモデルも同じこと。Howを示しても、それを実践する際は様々な苦労がある


■第3パート:プロ―モデルの測定事例(鈴木さん)

・様々なタイプの研修の中で実施した。今日は新入社員研修の実施例を紹介する。
・フローモデルは新入社員研修の情報について、育成部門と配属先の連携強化のために導入した。
→説明可能か(反復フェーズ)までをゴールにして展開した

・アンケートでは「実際にやったこと」を聞いている
→同じ項目について複数の詳細な質問にブレイクダウンして聞いている

・「外部のベンダー」が配布した「記名式」アンケート
→本音が何処まで反映されているか。スコアも全体的に高め。

・内容試行が4点以上/未満で比較しても、【訓練】フェーズの評価は変わらない(内容満足~活用自信)

・今後は、職場での取り組みと研修の場での反応の関係を見てみたい。


■第4パート:職場レベルの効果測定を実行するために(伊達さん)

・組織の政治力学と無縁では進められない。
→組織ごとに、説得しなければならない相手は異なる。そこを考えるのが成功の鍵を握る。

・効果測定で大事なのは「イメージ」
→職場がどう変わるか?
→誰が関係してくるか?(ステークホルダ)

・効果測定そのものが効果を促進する
→学生がテストが無ければ勉強するか?
→アンケートによるリマインド効果

・効果を計画したうえで、意図していない効果にも目を向ける
→意外な波及効果もひろう。

・「テクニック」「ネゴシエーション」が大事
→テクニックは効率・効果
→L3を実践している人は、意識して社内説得している。そのために情報戦の様相を呈する。


■質疑応答
・参加者が持ち帰るものが一定ではない研修(キャリア、モチベーションなど)の効果測定は難しいのでは?
→とはいえ、ある程度のパターンは押さえておく。
→「効果が出なかった」ことをネガティブに見る必要も無いのでは?
→意図しなかった効果も見る。
→モチベーションはどこまでいっても測定できないと思う(鈴木さん)。そのため、見える行動に落とし込むことが大事である。

・研修は限定的。その後、本人が学び続ける学習意欲が大事。
→研修後アンケートでも聞く。リマインド効果を狙う。

・なぜ「フローモデル」という名前にしたのか?
→割りとノリで決めている。
→商品化の意図はなく、考えるきっかけになればよい。

以上

開催日 2013年8月31日 (土) 14:00~17:00
学習テーマ

 研修効果測定手法である「フローモデル」とその実践結果を題材として、カークパトリックの「レベル3」(職場での行動変容効果)の具体的測定方法と考え方を検討します。

 フローモデルは、株式会社ビジネスリサーチラボによって、科学的な手続きに基づいて構築されました。とはいえ、研究によって生み出されたフローモデルを、実務における研修効果測定に適用することは「言うは易く行うは難し」です。例えば、職場の研修効果を測定するためには職場の協力が必要であり、実際、測定実現のためには職場と交渉をしなければなりません。フローモデルを実務で活用するために、どんな課題があり、その課題はどのように解決すればよいか。フローモデルにもとづく効果測定事例を題材に、その点も具体的に考えていきます。

講 師 ビジネスリサーチラボ 取締役 伊達洋駆氏 /NECラーニング 営業本部 マーケティングG シニアエキスパート 鈴木智子氏
会 場

明治大学 駿河台校舎 紫紺館 S4会議室
千代田区神田小川町3-22-14
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

定 員 30名 ※最低催行人数:5名 開催1週間前までにお申込人数が、最低催行数に満たない場合は、中止とさせていただきます。 予めご了承ください。
参加費 会員:¥2,000-(税込)   非会員:¥8,000-(税込)
開催概要

ビジネスリサーチラボは2010年に研究者と共同で、研修効果測定手法「フローモデル」を開発しました。フローモデルとは、「研修で学んだことが職場においてどの程度生かされているか」を、アンケートを使って定量的に測定できる方法です。

◆第1パート:フローモデルとは何か?
 初めに、そもそもなぜ研修効果測定が必要となるのか。そして、現在、研修効果測定のモデルとしてはどのようなものがあるのかをお話します。その後、ビジネスリサーチラボがなぜフローモデルの開発に踏み切ったのか。どのようなプロセスでフローモデルを開発したのか。フローモデルとはどのような考え方なのか。これまでの研修効果測定モデルとの違いを、ビジネスリサーチラボ取締役の伊達が解説します。
 ・そもそも効果測定とは
 ・研修効果測定手法「フローモデル」とは
 ・フローモデルを開発した背景
 ・フローモデルの開発プロセス

◆第2パート:フローモデルでどのように測定するのか?
 フローモデルを使って効果測定を行う方法をご説明します。その際には、概念的な手続きをレクチャーするだけではなく、実際に本セミナーの参加者の方々に、ご自身の担当されるセミナーを題材に、フローモデルに基づくアンケートを作成していただきます。ここで作成したアンケートは、後日使用していただくことができます。第2パートも引き続き、伊達が担当します。
 ・フローモデルを使った効果測定の方法
 ・自社のセミナー用にアンケートを作ってみる

◆第3パート:フローモデルの測定事例
 フローモデルの測定プロセスについて、新入社員・若手社員研修での効果測定事例をもとに解説します。ここでの目的は2つです。(1)事例を示すことで、どんな分析結果が出てきて、また、その結果をどのように活用していけるのか、イメージを高めていただくこと。(2)科学的なモデルを実務に適用する際に、具体的にどのような困難が待ち構えていて、その困難をどのように解決したのかを知っていただくことです。第3パートは実際に効果測定に取り組んだNECラーニングの鈴木が講師を務め、学術モデルを適用しようとする際の泥くさい実態をお話します。
 ・フローモデルの測定事例
 ・モデルの適用における実践的な課題
 ・分析結果をどのように活用したか
 ・フローモデルを使ってみた感想

◆第4パート:職場レベルの効果測定を実行するためのダイアログ
 最後に、フローモデルが持っている魅力と限界を整理した上で、本セミナーの登壇者と参加者全員でディスカッションします。ディスカッションのテーマとしては、(1)現在、職場レベルの研修効果を測定するために、自社でどのようなことに取り組んでいるか。(2)(第3パートにおける導入実態を踏まえつつ)フローモデルを自社に導入するとすれば、具体的にどのような導入形態、導入プロセスになるか。(3)分析結果をそのまま放置してしまうことなく、活用していくために何が必要かなどを想定しています。
 ・職場レベルの効果を測定するために自社でしていること
 ・もしもフローモデルを導入するなら
 ・分析結果を活用するために必要なこと


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小会では、広報活動及び会員サービスの向上に活用するため、ビデオ撮影、音声収録、写真撮影、受講アンケートを実施しています。これら映像、音声、画像、コメント(以下、記録情報)は、小会の関わるWebコンテンツ及び紙媒体の配布資料等に活用させていただく可能性があります。
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