2013年7月20日 (土)開催 | 基盤教育研究分科会

【定番】2つの演習で実践的に学ぶ「教育効果測定の基本」セミナー

 レポート HRDM会員 佐久間まさよ

1.イントロダクション


DSCF1695.JPG2013年7月20日(土)本会の定番セミナー、「教育効果測定の基本」の1日講座が催されました。講師はHRDM副理事長の堤宇一氏。堤氏の同名著作を読んでいる方は、基礎知識があり心の余裕があったかもしれませんが、未読である私は少し緊張しながら始まりました。

今日の目的は、『教育効果測定の基礎を学び、効果測定の調査概要書を設計できるようになること』、とても明確なゴール設定です。このゴール提示を皮切りに、それから7時間みっちり、参加者は"効果測定・養成ギプス"をはめられていくのでした・・・

2.進め方
講座は、大まかに座学→演習・発表→講評というステップで進められました。今回の参加者は12名。4名ずつ3グループに分かれ、演習・発表タイムには各グループで議論、ホワイトボードに書き出しながら論点を収斂させていき、堤氏の優しくもキビシイ講評を受けるというスタイルです。

前半は、「教育効果とは何か?」という基本テーマに始まり、測定方法・測定のタイミング・効果レベルと判断基準の設け方について知識を学んでいきました。

お昼休みをはさみ、効果レベルについての理解度チェックテストを経て(私は落第点でした・泣)、後半は今日のゴール「調査概要書の設計」スキルを磨くべく、"脳の筋トレ"とでも言うべき演習が始まりました。インストラクショナルデザインの要である学習目標の明確化、教育効果レベルの設定、教育効果の評価項目と評価方法との整合性等、一つ一つとても難しいテーマです。当然のごとく、各グループ侃侃諤諤の議論となり、設定時間内ではとてもまとまらず、度々の堤氏からのダメ出しにもめげず、ホワイトボードに書いては消し書いては消しながら、議論を整理していきました。

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実際に演習で出たお題ですが、例えば「カレーライスを作れるようになる」という目標を設定した場合を考えてみます。材料は自由に選ばせるのか?カレーの種類は限定するのか?調理時間は?器具など制作条件は?味の評価は主観ではないか?など数多くの検討項目があります。これらの項目を体系立てて綿密に策定できなければ、学習自体が曖昧になったり、目標のぶれや学習対象者の選定にも影響が出ます。鉄則として、効果測定は設計時に行うこと、教育(研修)を始める前の概要設計ですべてが決まることを叩き込まれました。

3.本講座で得られたもの
今回のゴール「教育効果測定の概要設計書を作る」というお題には、3つの柱があります。①学習目標を定める ②①を達成するための効果的な研修設計を考える ③学習目標に到達したかを評価する効果測定方法を決める という3点です。それぞれについて思考方法と手順が説明されていきました。但し、知識が定着しても、まともな概要設計書をさくさく作れるようになるには千本ノックを自分に課す必要がありそうです。ゴール達成には時間を要するとしても、実務では研修を実施していかねばなりません。今後、概要設計を作成し運用していく際に重要だと感じたポイントがいくつか挙げてみます。

1)目的と手段と混乱させないDSCF1720.JPG
2)狙うレベル(Level1~4あるいは5)を明確にする
3)学習成果の4区分(言語情報・知的技能・運動技能・態度)を間違えない
4)粘り強く考える
5)経営目標ないし経営課題と(ウソでも)紐づける
6)告知の際には、特に上記2・3について、腹に落ちる説明をする

理解不足で間違っている箇所もあるかもしれません。1~3は参加者の方にも異存はないと思います。5は設計者である自分が評価されることを考えると、(もちろん大ウソではいけませんが)大切なことだと感じたので入れておきました。

4.効果測定はなぜ難しいか
今回参加して、言語情報・知的技能は一通り得たかもしれません。それを業務スキルとして定着させるには、日々の千本ノックで身に着けていくとして、自分の人事としての態度に何か変化があったかを考えてみます。
日本語は曖昧な言語だという人がいます。その真偽はともかく、普段使い慣れている日本語を駆使して、これでもか!と緻密に要件を組み立てていく作業は、とてもハードルの高いものでした。日頃の社内研修や期ごとの人事評価など、こと"人"に対する定量化という領域には、どこかに甘えがあるような気がします。人が人を評価する以上やむを得ないんじゃないか、とか、自分もサラリーマンで評価対象である以上、曖昧な部分を残しておきたい・・・・そんな甘えです。

でもその甘えを振り切って、可能な限りの測定と評価フィードバック、目標の再設定という作業を社員と実直に進めていかなければ、人事としての役割が果たせない。教育の効果測定とは、個々の社員にどう育って欲しいかという、人事からの愛のムチであり、組織の2年後3年後はては10年後を司る人事部門のプライドを賭けた闘いである――というと(かなり)大げさですが、でも、私にはそのくらいの意気込みをもって取り組むべきテーマである気がしました。

少子高齢化が進む現在、人材育成はもっとも重要な経営課題の一つであり、人事の業務としても過渡期を迎えているはずです。人に関する評価への甘えを断ち切るメンタル・タフネスと社員への愛情と効果測定スキルとがバランスよく持てた時、今日の受講成果が十二分に発揮されるものだと考えています。

5.まとめ
講座中、堤氏より『研修は万能ではない』という言葉がありました。研修設計を行う上でも大切なポイントですが、もっと本質的な意味でも重要だと思われます。研修はあくまでも人を育成する一手段であり、きっかけ作りです。学習成果が、知的技能から態度に移行するにつれて、反復学習や気づきを得る機会が必要となってきます。さらに進んで気づきが組織間で共有・拡散していった時、"会社の足腰が強くなった"という表現が出来るのではないかと思います。優れた教育効果測定の設計とは、設計書1枚の中の整合性が図られているという人事の自己満足ではなく、それを読んだ経営者が会社の足腰が強くなった状態をイメージでき、想定する受講者の顔が思い浮かぶようなストーリーではないでしょうか。

本講座は、会のご厚意で本来2日間のセッションを時間・受講価格ともにショート版でご提供下さっています。したがい、講義内容の詳細を省いております。関心のある方はぜひ堤氏の著書(「はじめての教育効果測定」「教育効果測定の実践」両著とも日科技連出版社)や正式な本講座にあたっていただきたいと思います。私も氏の図書にあたって講座の復習をしながら、今後の人材育成業務に活かしたいと考えています。

堤様、参加された皆さま、グループでご一緒下さったメンバーの皆さま、ありがとうございました。
以上

開催日 2013年7月20日 (土) 10:00~18:00
学習テーマ

『教育効果測定の基本セミナー』は、教育効果測定の基本理論を1日で学ぶ小会の定番講座です。
効果測定の基礎理論を理解し、効果測定の調査概要書を一人で設計できるようになる事をめざしています。

講 師 NPO人材育成マネジメント研究会 副理事長 堤宇一氏
会 場

明治大学 駿河台校舎 紫紺館 S2会議室
千代田区神田小川町3-22-14
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

定 員 15名 ※最小催行人数5名。 開催1週間前に、お申込数が最小催行人数に満たない場合は、開催を中止させていただきますので、予めご了承ください。
参加費 会員:¥10,000-(税込)  非会員:¥30,000-(税込)
参加対象者

本セミナーは、以下に挙げる方々を主たる対象として企画されています。
■人材育成に携わり3年以上の経験を有し、自分で研修企画を行っている方。
■人材育成に携わり3年以上の経験を有し、研修プログラムを社内導入するための決定権を有する方。
■教育ベンダー会社に所属し、研修開発に携わっていらっしゃる方。 

開催概要

【学習目標】
1)教育効果測定の基本的考え方「教育効果測定の実施目的」「教育効果のレベル」「教育効果測定の実施に必要な技術」「教育効果測定の実施手順」の4点を理解し、教育効果を4つのレベルに分類できるようになる。

2)研修設計で鍵となる「学習目標」と「学習成果」について学習し、学習目標の明確化の方法と重要性を説明できるようになる。

3)演習を通じ、効果測定実施のための概要計画を立案できるようになる。

【学習内容】
本セミナーは、教育の効果や調査計画の立案といった教育効果測定に関する基礎理論を理解するための講座です。

研修では、教育効果測定の基本的な理屈と実施手順を講義によって最初に押さえます。その後、学習目標の明確化の目的とその方法を小演習を通じて理解を図ります。
最後の2つの総合演習では、チーム単位で事例研究に取り組み、学習した内容の活用方法や現場応用のポイントをつかんでいただきます。

Ⅰ.教育効果測定の理屈を知る
 1)教育効果とは
 2)教育効果測定の実施目的
 3)教育効果の分類
 4)教育効果測定の基本的精神と必要な技術
 5)教育効果測定の実施手順

 <理解度テスト:教育効果のレベルを正しく分類できるか>

Ⅱ.学習目標を明確化する
 1)学習目標の明確化
 2)学習成果の分類

Ⅲ.教育効果測定の概要設計書を作る(演習)
 1)事例演習‐A
 2)事例演習‐B

Ⅳ.質疑応答

■参考書籍
『はじめての教育効果測定』堤宇一・青山征彦・久保田享(著)
 ¥3,570- 日科技連出版社

■写真等記録情報の使用許諾のお願い
小会では、広報活動及び会員サービスの向上に活用するため、ビデオ撮影、音声収録、写真撮影、受講アンケートを実施しています。これら映像、音声、画像、コメント(以下、記録情報)は、小会の関わるWebコンテンツ及び紙媒体の配布資料等に活用させていただく可能性があります。
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