2012年10月13日 (土)開催 | 基盤教育研究分科会

世界に拡がるオープンコースウエアの実態とその可能性

『世界に拡がるオープンコースウエアの実態とその可能性』参加報告
                                                                  (レポート HRDM会員 山岡敏夫)

 最近巷で話題となっているiTunes U では無料の教材コンテンツが多数公開されています。この様な無料の教材コンテンツは総称してオープンコースウエアと呼ばれます。今回はこのオープンコースウエアを題材に、日本オープンコースウェア・コンソーシアム(JOCW) 代表幹事 福原美三氏から世界の動向や日本の現状をご講演いただきました。参加者は、やや少なめの9名でした。
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 講演内容として、前半ではOCW(Open Course Ware)やOER(Open Educational Resources)といった言葉の概念や、OCW/OER の歴史的変遷、海外のOCW動向を、後半では日本のOCW現状、海外の最新情報をお話頂きました。ご講演を聞いて、日本の教育は海外と比較して2歩も3歩も遅れている。更に、これから5年10年の間に教育のあり方がドラスティックに変化する可能性をヒシヒシと感じました。

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◆OCW・OER
 オープンコースウェアが世の中に出始めてから約10年が経過し、世界では200以上の大学から20,000以上の科目が公開され今なお拡大しています。2012年6月UNESCO(国際連合教育科学文化機関)が世界OER会議を開催し、2012パリOER宣言が採択されました。国際的にOCW/OERの活動が勢い付いているとのことです。現在、活動が盛んな国は、先頭を行くのがOCW発祥地のアメリカです。2番手は以外なことにスペイン。スペインでは2004年に国内コンソーシアムが発足しました。このコンソーシアムに対して大手銀行が活動資金を援助しているとのことです。無償教育を普及させることにより人々の教育レベルが上がり、その事が経済を発展させ、最終的に銀行にプラスになる事を狙っているとのことです。アジア圏の国々(特に台湾)の活動も活発とのことです。
 OCWの源流をたどると、発祥は2000年にMITで提案され、2001年からWilliam & Flora Hewlett財団の助成金を受けて活動が開始されたそうです。先ほどのスペインの例もあるように普及活動をするにはそれないに(直接リターンを求められない)資金が必要なのだなと感じました。一方、OERは2002年にUNESCOが開催したフォーラムで提案された概念/用語とのことです。
 お話を聴いているとOERはOCWを包含したもっと広い領域をカバーした概念のようです。OCWは無償の教材を指し、主に大学が正規講座で一般に公開されている教材をさすとのことです。勿論、大学とは限らず企業が公開する場合もあるそうですが、まだ数は少ないそうです。OERは、教育(能力UP)に効果のある資源(例えば受講者同志のコミュニケーションなど)も含まれる概念のようです。
<参考>
 MITによるOCWの定義 http://ocw.mit.edu/about/
 UNESCO OER の定義 http://bit.ly/SxFcgh

◆OCW・OER活動の変遷
OCW・OER活動の変遷は以下の5つのPhaseに分けられるとのことです。
 Phase-1 講義ノートの公開
 初期のOCWは、先生が講義で配付する資料を公開している程度のものでした。日本で、著作権の問題がありあまり普及しなかったそうです。
 Phase-2 リッチメディア化(講義動画配信)
 モバイル環境に対応したOCW (代表はiTunes U)、アメリカでは大学が人気講座を公開し優秀な新入学生の獲得や卒業生とのリレーション強化に利用しているそうです。
 Phase-3 学習コミュニティ形成
 Webサービス(Open Studyなど)を活用して同じ講座を受講している者どうしコミュニケーションが取れるようになった。その学習者コミュニティが学習者のモチベーションを維持して学習を最後まで継続させることに寄与しているそうです。
 Phase-4 スキル・達成度認定
 学習者のスキルアップを認める事が含められた。現状その認定が社会的証明になるかは疑問だが、OCW+認定制度の普及率によっては効力がでてくる可能性があると感じました。
 Phase-5 Big Date・Global Scale
 MITx に代表される MOOCs(Massive Open Online Course)の登場。

 Phase1 - 2 は、教育を配信する側に主眼が置かれていいましたが、Phase3 以降は学習者側に主眼が移り、Phase4, 5では学習者が学習した事を認めてあげるという更に高次へ移り変わってきたそうです。

◆MITのOCW 
 セミナー内で紹介して頂いたMIT OCW はMITで実施されている講義内容が無償で公開されていて、講義によってまちまちですが、講義ノートだけでなく小テストや試験内容まで公開されているそうです。OCW公開によりMIT内でも教育内容や教授法の改善に役立っているそうです。また、在学生の90%、卒業生の50%がOCWを利用しているとのことです。NETを介したOCWは、時間や場所の制約をうけずに何回でも受講できるのがメリットです。NET経由なので、海外からのアクセスも可能です。MITでは海外の優秀な学生を集めるためにもOCWを活用しているとのことです。なお、OCWへの利用用途を絞った寄付金も1億円集まったとのことです。

◆OER University
 OERの学習者が公式の単位認定がもらえるような仕掛けを提供するコミュニティ(協調集団)も形成されていて、オーストラリヤやカナダ、アメリカの大学が中心となり活動を進めているとのことです。単位認定制度なので講義内容が身に付いているかのアセスメントがあります。そのアセスメントに合格後、認定料金を支払うと晴れて単位認定をいただけるとのことです。この仕組は素晴らしいと感じました。学習した成果が認められる事は最後までやり切るモチベーションに繋がります。更に、就職時の評価ポイントにまで発展すれば普及に拍車がかかるのではないでしょうか。

◆さらなる発展(MOOCs)
 PrincetonやStanford、MITやHarvardなど著名大学がこぞってオンラインで単位認定を行うプログラムを公開し、世界中から受講者が集まっています。一例では、2011年秋に実施された2つのコースで約20万人の受講者が集まったそうです。凄い規模です。これだけ多くの受講者が参加するため、そこから集められた学習ログ(学習時間やドロップアウト情報、テスト採点情報)を分析して、より良い教育コンテンツ作りや教授法に役立てることを狙っているそうです。今流行のビックデータに対応します。

数年前、書籍「フリー」が話題となりましたが、まさに教育にもその流れが押し寄せようとしてきています。普段、教育を提供する側として脅威を感じざるを得ない状況です。これから5年・10年で、教育のあり方が大きく変わる兆候をOCW・OERに垣間見ることができました。この変化の中においても教育提供側に求められる事は何かを考える良い切っ掛けとなりました。また、教育を受ける側としては選択肢が増え良い事かと思いますが、自身に必要な能力を見極める力や多くの選択肢から自分に最適な教育を選ぶ力も必要になってくると感じました。

開催日 2012年10月13日 (土) 14:00~17:00
学習テーマ

オープンコースウェアの実態とその可能性
2003年、米国MITからスタートしたオープンコースウェアの実態と課題に関する情報提供を行い、その可能性について全員でディスカッションする。

学習目標

2003年、米国MITで開始されたオープンコースウェア(大学や大学院などの高等教育機関で行われた講義情報を、インターネットを通じて無償で公開する活動)が、現在、世界中の大学に広がっている。
その実態と課題に関する情報提供を行い、オープンコースウェアの可能性について全員でディスカッションする。

講 師 日本オープンコースウェア・コンソーシアム 事務局長 福原美三氏
会 場

明治大学 駿河台キャンパス 紫紺館 S4会議室
千代田区神田小川町3-22-14
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

定 員 35名 (※最低催行人数:5名)  開催1週間前までにお申込人数が、最低催行数に満たない場合は、中止とさせていただきます。予めご了承ください。
参加費 会員:¥2,000-/回(税込)   非会員:¥8,000-/回(税込)
開催概要

2003年のMITのオープンコースウェア(以下、OCW)の本格的開始に端を発し、多くの米国大学がOCW活動を進めている。
現在では、その動きが全世界に広がり、スペイン、中国、韓国、日本においても様々な大学がその活動に参加し、コンテンツをOCWとして提供しています。

今回のわ談会では、OCWの歴史と世界的な流れを概観するとともに、日本オープンコース・コンソーシアムが、2006年より実施している調査結果を基に日本国内の活動実態をご紹介します。

そして、これらOCWを企業内教育の教育リソースとして、どのようなに活用していけばよいか、その可能性と課題について全員でディスカッションします。

支払方法と
領収書発行

■支払方法:当日会場受付時に現金支払
■領収書発行:領収書をご要望の方は、お申し込みの備考欄に「領収書要」と、ご記入ください。会社名(学校名)欄にご記入いただいた宛名で用意いたします。なおそれ以外の宛名をご希望の方は、お申し込み備考欄に、宛名を明記ください。

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