2012年11月 3日 (土)開催 | 基盤教育研究分科会

【シリーズセミナー】シナリオメソッドを活用した、事例作成スキル向上セミナー

『シナリオメソッドを活用した、事例作成スキル向上セミナー(第2回)』参加報告                       
(レポート:HRDM副理事長 堤宇一)
 
12月1日(土)に第2回目が開催されました。参加人数は10名でした。
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第2回は、各参加者の作品発表大会です。第1回の学習内容を用いて実際に参加者が作成した事例(テキスト)やシナリオ(映像コンテンツシナリオ)を発表し、相互コメントを行いました。
作品出展数は、8作品でした(事例:7作品、シナリオ1作品)。
発表とコメントをあわせて、各作品の持ち時間は、30分です。
 
■多岐に渡る題材と作品完成度の高さに驚愕
 作品の題材やテーマは、「管理職や主任職のマネジメント」や「OJT」を題材としたり、「メンタルヘルス」「障害者雇用」あるいは「養護施設での出来事」「教育効果測定の実践」を扱ったものなど広範囲に渡っていました。
そして、一番の驚きは、どの発表作品も完成度が高く、直ぐに研修や職場の演習で使えるレベルのものばかりでした、参加者の皆さんの能力の高さに感心です。
 
■リアリティを高めるためのTips
 作品発表後、柴田さんよりそれぞれの作品に対して、多面的な観点から質を高めるための工夫点とコメントをいただきました。
コメントの中で紹介された、柴田さんの実践Tipsを以下に整理します。
①専門用語の使い方
 読み手(学習者)が使用されている専門用語をイメージできなかったり、また専門用語が読み手にとって古臭いと感じる場合、事例の魅力をディスカウントしてしまい、演習へのモチベーションを下げてしまう。
事例中に、専門用語を用いる際は、学習者対象者のレベルや知識に配慮する。これのためには、学習者分析を詳細に行うことである。
②登場会社のネーミング
 事例の主役会社を「A社」などと表現したら、後に登場する会社名は全て、「B社」などに統一し、リアルな名前とアルファベット1文字社名を混同して使用しない。リアリティを損なわせてしまう。
③登場人物のネーミング
 人物イメージを有名人とダブらせたい場合は、「吉田サトル」といったカタカナ名前を用いる。人物イメージを特に意図していない場合は、「吉田悟」などの漢字名にする。
④エピソードの仕込み
 期間の長さを事例中に表現する必要性があるなら、エピソードを「年末商戦」といった時期の遅いエピソードに仕立てる。逆に、短期間が重要であれば「お中元商戦」といったように時期が早いイベントをエピソードにする。このテクニックで、事例にテンポを作る。
⑤人物のキャラを際立たせるテクニック
 「仏の○○さん」という形容詞だけでは、人物のキャラが立ちにくい。テクニックは、仏を象徴する短いエピソードを入れ込んでおく。それによって、人物キャラが立つ。
「あの仏の○○さんが、うなり声を上げた」といった表現で、尋常でない怒り読み手に伝えることができる。
⑥キャラぶれをしない人物言動を描くテクニック
 初稿までは、「デキスギ君」とか「カタブツ君」といった人物のキャラを象徴した名前で、原稿を記述する。そして、最終校の時に普通の名前に変更する。
⑦登場人物のリアリティを保持する
 原稿を書いていると勧善懲悪的に描きたくなるが、それではリアリティが生まれない。根っからの悪人も善人も世の中に存在しない。理想的な行動を取れないのは仕方のない事であり、違反言動をしてしまうには、理由があるというスタンスで原稿を書く。
人物を悪人、善人に区分けすると安っぽい道徳の教科書になってしまう。
態度教育では特に、この2分構図を決して行ってはならない。
⑧読み手にコンフリクトを起こさせる
 悪いサービスをしているから、お客様が離れていくのは、仕方がないし当たり前。読み手にコンフリクトを起こさせることで、事例での問い掛けが意味を持つ。
「登場人物は全て善人、それなのに人間関係上の問題が発生する」とか「一生懸命サービスしているのに、お客様が離れていく」といった内容構成にすることで、リアリティが増し、教材としての質が高くなる。
⑨大人の世界観を表現する
 登場人物に、本人がやりたくない事を仕方なく始めさせる際のテクニック。相手が「No」といえない大儀を表現したり、大人の世界の貸し借りをエピソードに加えて、現実感をつける。法律だから仕方がないという動機では、リアリティに欠ける。
⑩学習目標の明確化が重要
 我々は、エンターテイメントのシナリオをつくってはいない。学習教材を開発している。事例やシナリオの出来ばえを評価するのは、面白さや現実感といった要素だけではない。重要なのは、事例演習を用いることで学習目標に到達させえるかどうかである。そのための必須項は、キチンと学習目標を文章化すること。
「冷静さを欠いている状況に気付かせる」という学習目標では、まだ粗い。どんなことに気付けば、冷静さを欠いていることに気付いたといえるのか。例えば「怒りに任せ、相手をやり込めようとしている自分に気付く」など、より詳細な表現を工夫する。
 
まだまだ、沢山あったと思いますが、堤が拾えたTipsは、以上です。
柴田さんの、的確なコメントやTipsには、感心するばかりでした。
2回に渡り、熱心なご指導をいただき、感謝申し上げます。
私が自身、今回のセミナーによって、自分のセミナーで使用する新事例を開発することができました。
教育効果抜群の実り多いセミナーでした。本当にありがとうございます。
是非、来年度も本セミナーを開催いたしましょう。

 
『シナリオメソッドを活用した、事例作成スキル向上セミナー(第1回)』参加報告                                                    (レポート:HRDM会員 河面 徹)

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11月3日(土曜日)、基礎教育分科会セミナーが開催されました。参加者は男性13名、女性3名で、開催場所は明治大学駿河台キャンパス紫紺館でした。
テーマは『シナリオメソッドを活用した、事例作成スキル向上セミナー』です。
今回と12月1日の2回で1セットとして設計されたセミナーで、講師は学校法人産業医科大学産業医実務研修センター准教授の柴田喜幸先生です。
柴田先生は、日本能率協会マネジメントセンターで通信教育事業部マネージャー、e ラーニング開発部長などを歴任、2008年4月より産業医科大学で教鞭をとっていらっしゃいます。
また、放送台本の執筆をされています。
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セミナーの冒頭、ヒロタのシュークリームが参加者全員にふるまわれました。予期せぬ出来事に驚かされましたが、一瞬にして会場が和みました。

セミナーは、以下のとおりに進みました。
 ・イントロ
 ・ケース学習の意義・用途
 ・my 設計書作成
 ・my ケース作成

1.イントロ
ケースとシナリオとの相違についての説明がありました。
ケースは読ませるもので、出来事が淡々と記述され多少のセリフが入ることもあります。
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一方、シナリオは、見せるための素材になるもので、映画の脚本のように画像や質感を追及し、ト書き、ナレーション、セリフで構成されています。
ケースとシナリオについて、柴田先生の作品のひとつであるコンプライアンス教育のアニメを題材にその違いを説明していただきました。
ケースやシナリオを学習に活用する目的が「普通の(あまりやる気がない)学習者に、(興味がないことであっても)学ぶ気にさせる」ためのものであることを理解いたしました。

2.ケース学習の意義・用途
ケースには、経験学習サイクル(①体験する、②ふりかえる、③概念化する、④実践する)における「体験する」の段階にケースを用いることで、学習者に意図的・効果的な体験をしてもらうとの意義があります。
一般的に学習段階に則した適切な経験を学習者にしてもらえる実例を探し出すことは難しく、それを比較的自由に設計できるケースで補うことができます。

ケース学習を作成する際の留意点は以下のとおりです。
(a) 正解を「当てる」ことよりも、思考の過程を経験し「転移性(異なる個別状況でも解決できる力)」を身につけてもらう。
(b) すべての情報を盛り込む必要はないし、盛り込めない。
(c) ケースをどのように用いるかは、学習のゴールとケースとの用途による。

3.my 設計書作成
ケース・シナリオは、以下の順序で設計します。
① テーマを決める。これから作成するケース・シナリオの内容を端的に表す。
② ゴール(教育課題)を定める。ゴールの三要素(どのような条件で、どれくらい、何を)を満たす。
③ 対象者を分析する。学習者は何ができるのか、もしくは何ができないのかを確認する。
④ 主なカリキュラムを決める。
⑤ 問題の所在を明確にする。ゴール達成に向け、あえてケースを使う理由、通常の研修や講話では解説できないことを確認する。
⑥ ケース・シナリオの利用イメージを明確にする。ゴール達成に向け、ケース・シナリオをどう使うかを検討する。
⑦ 背景世界を決める。どのような事情のどのような場所か。背景世界が明確であればあるほど、ケース・シナリオが作成し易くなる。
⑧ 登場人物を決める。主要人物の性格づけや関係。これも詳細に定めれば定めるほどケース・シナリオが作成し易くなる。
⑨ ケース・シナリオ(主な流れ)を作成する。
レベル1として、「筋立」と「描写」を決める。
レベル2として、より細かく筋立てを作成する。
※筋立とは、何が<導入>、どうして<展開>、どうなった<結末> の話の流れのこと
※描写とは、どのような<質感>の話であるのかということ

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4.my ケース作成
ケース作成では、TV アニメの「まるこちゃん飲み屋さんに行く」(11分の作品)を題材に、前述の計書作成の⑦から⑨についての説明をしていただきました。

一方、参加者は、各々設計書を用いて自分のケース・シナリオの作成に取り組みました。
午後1時から7時の6時間のセミナーでしたが、「なるほど、こうしてシナリオは作られるのか。」と理解することができ、瞬く間に時間が過ぎた感じがしました。とても勉強になりました。
次回は、12月1日に開催されます。
次回セミナーでは、それまでに参加者がケース・シナリオを完成させ、その品評会を行います。

柴田先生、大変お疲れ様でした。ありがとうございました。
開催日 2012年11月 3日 (土) 13:00~19:00
学習テーマ

普通の受講者(社員)を、学ぶ気にさせるために!!
シナリオを使った教材設計手法体験セミナー (2回連続参加型セミナー)
【第1回】 2012年11月3日(土) 13:00-19:00(6時間)
【第2回】 2012年12月1日(土) 13:00-18:30(5.5時間)

<参考書籍>
「シナリオライティングの黄金則 -コンテンツを面白くする-」 ¥ 3,990
金子 満 (著), 長尾 康子 (編集)  ボーンデジタル (2008/4/5)

学習目標

内部で実施する新入社員や若手研修、管理職研修、営業研修などに使用する「簡単なケース(A4用紙2枚~5枚程度)」を作成できるようになる

講 師 産業医科大学 産業医実務研修センター 准教授 柴田喜幸氏
会 場

【第1回】 明治大学 駿河台校舎 紫紺館 S4会議室
【第2回】 明治大学 駿河台校舎 紫紺館 S4会議室

千代田区神田小川町3-22-14
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

定 員 15名 ※最低催行人数:4名 開催1週間前までにお申込人数が、最低催行数に満たない場合は、中止とさせていただきます。あらかじめご了承ください。
参加費 会員:¥15,000- /2回分(税込)  非会員:¥30,000- /2回分(税込)
参加対象者

本セミナーは、以下に示す条件を満たした方を想定して設計されています。
【条件1】 企業・団体で人材育成に携わり、若手教育などのインストラクションを行った経験を複数回有している。
【条件2】 企業内人材育成のコンテンツ開発の経験を有している。

開催概要

成人学習に関する本を読むと「必要なものは、喜んで学ぶ」という暗黙の前提が漂っているように感じます。しかし、現実はどうでしょうか? その教育が、仕事上必須だからといって、喜んで学ぶ社員は稀ではありませんか。意欲のある社員は、研修などを待たずに書籍などから独学で学んでいるというのも現実ではないでしょうか?
本セミナーでは、普通の受講者=社員を、少しでも学ぶ気にさせるために、シナリオを使った教材設計手法を体験していただきながら学習していただきます。

■参加条件
全2回ご参加いただけること。
本セミナーは、2回で1セットとして設計されています。

■進め方&カリキュラム
本セミナーは、2回を1セットとして開催します。第1回は、インストラクショナルデザインの鍵となるADDIEモデルを用いた研修の全体設計とともに、シナリオ作成の黄金則13のロットを用いた、事例の素案の開発を行います。
そして、第2回は、作成事例を相互に助言し、それをクラス全体で発表会を行い、各人の事例内容の評価と共有を行います。
※内容や順序は、参加者の動向や進捗等により適宜変化・変更させていきますので、予めご了承ください。

<第1回カリキュラム> 2012年11月3日(土) 13:00~19:00
 1.オリエンテーション&設定作り体験
 2.台詞作り体験
 3.教材設計
 4.シナリオのイメージ決定
 5.作品分析
 6.粗筋作成
 7.シーンとカットの作成
 【注】 シーンとカットが完成しなければ、次回までの宿題

<第2回カリキュラム> 2012年12月1日(土) 13:00~19:00
 1.初稿の共有
 2.シナリオ作成(2稿作成)
 3.グループ代表作品の決定
 4.全体オーディションの準備
 5.全体オーディションの実施
 6.作品評価投票

■参考書籍
「シナリオライティングの黄金則 -コンテンツを面白くする-」¥ 3,990
金子 満 (著), 長尾 康子 (編集)  ボーンデジタル (2008/4/5)

■写真等記録情報の使用許諾のお願い
小会では、広報活動及び会員サービスの向上に活用するため、ビデオ撮影、音声収録、写真撮影、受講アンケートを実施しています。これら映像、音声、画像、コメント(以下、記録情報)は、小会の関わるWebコンテンツ及び紙媒体の配布資料等に活用させていただく可能性があります。
小会活動へのご参加は、記録情報の活用にご承諾いただけたものとさせていただきます。

支払方法と
領収書発行

■支払方法:当日会場受付時に現金支払

■領収書発行:領収書をご要望の方は、お申込の備考欄に「領収書要」と、ご記入ください。会社名(学校名)欄にご記入いただいた宛名で用意いたします。なおそれ以外の宛名をご希望の方は、お申込備考欄に、宛名を明記ください。

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