2012年8月 4日 (土)開催 | 基盤教育研究分科会

社外で学ぶビジネスパーソンの実態「越境学習」

『社外で学ぶビジネスパーソンの実体「越境学習」』参加報告
(レポート HRDM会員 山岡 敏夫)

「越境学習」という何となく想像はできるが聞きなれないキーワードを題材に、東京大学大学院 学際情報学府 中原淳研究室 博士課程3年 舘野泰一氏から調査・研究内容をご講演いただきました。
DSCF1224.JPG
参加者は、想像していた人数よりもやや少ない13名でした。前回(7月21日 22名参加)のトピックわ談会と関連するテーマ設定だったので連続参加の方もいらっしゃいました。今回も遠方島根県からの参加や製造業やIT・サービス業など多彩な参加メンバーでした。
講演内容として、前半では越境学習(勉強会)についての実体調査内容を、後半では学習理論と結びつけ今後の越境学習についてお話を頂きました。難しい理論的なテーマもテンポ良く話の流れで聞くとすんなりと理解がすすみました。

◆勉強会ブームの歴史
ここ数年、私の専門としているIT業界では勉強会が盛んに開催されています。その印象もあり勉強会ブームというのは、ごく最近のことと思っていましたが、勉強会も歴史があるとのことです。古くは1979年ごろオイルショックを機にリストラに怯えるミドル層が開始したのが第一次ブームとのことです。80年代後半から90年の第二次ブーム(新しい知の獲得)を経て、現在は第三次ブーム(キャリア不安/自分らしさの発見)にあたるそうです。ブームごとに勉強会の目的や主に参加する年代(中核プレイヤー)が変化してきているとのことです。
では、なぜ勉強会という職場外が近年注目されるのか、2つの観点で語られました。1つめは「キャリア」の観点で、社外に出て自分自身を説明することで自分を見つめなおし、現在の仕事に意義を見出す効果があるということ。2つめは「イノベーション」の観点で、社外から得た発想を社内に持ち帰り組織に変化を与える効果を期待していること。この2つの理由から、近年の経済・市場の状況や価値観の多様化が大きく影響していると感じました。

◆社外にでて学ぶビジネスパーソンの実体
社外の勉強会に参加している人は、どのような人なのかという調査結果の内容をみて納得する部分もあれば違和感がある部分もありました。
自主的に勉強会に参加したことがあるとの回答が45.6%だったことには大きく驚きました。半数の人が何らかの勉強会に参加したことがあるとのことで、随分多いなと感じました。また、参加ペースは1度だけという回答が全体の1/3と悲しいような勿体無いような実体も示されていました。
これは調査を承諾した大企業に勤務している社会人を対象としたためか、中小企業まで範囲を広げるとまた違った傾向が見いだせると感じました。
面白い結果として、社外勉強会のみに参加している人と勉強会に参加していない人の組織コミットメントには、統計的に有意な差は見られなかったということ。チームディスカッションの中でも話題になりましたが、社外に出て活動しないからといって組織コミットメントが高いというわけでもない。社外にでて勉強している人よりも組織コミットメントが低いという結果から、勉強会に参加しない人は組織に貢献したいという思いを持っていないのでは、という意見も聞かれました。今後の会社組織としては、この参加した事がないという層にどう効果的にアプローチしていくかが議論になりそうだと舘野氏もお話していました。
また、勉強会参加理由を4タイプに分類した中に、「積極的な理由なし型」があったのには驚きました。理由もなくただ何となく参加する人もいるのだと自分と大きく異なる考え方を受け入れるのに苦慮しました。更に、その「積極的な理由なし型」は、その他の理由(成長志向型やイノベーション型など)の人と比較して、勉強会に参加したことにより能力向上やキャリア成熟を感じていないという結果も示されました。人材育成の一環として社外に出して人材を育成する事を検討している企業(マネージャー)はこの結果を踏まえ、ただ単に人材育成に一環として社外に出る機会を設け送り出すだけではなく、社外に出て学ぶ事の意識付けや問題意識を醸成する必要があると感じました。
                     DSCF1202.JPG          DSCF1205.JPG
◆学習理論との紐付け
学習の形態として旧来の獲得型と新しい考え方である参加型がある。この参加型とは、前回のトピックわ談会で取り扱った「実践共同体」に近い考え方で、参加して語り合うことや一緒に活動すること自体が学習と捉える考え方とのことです。越境学習に1つの視点である個人のキャリア形成にも通じるところがあります。
越境学習論と似た理論で文脈横断論が紹介されました。2つの視点から違いを比較されていました。
1つめの視点として、境界の取り扱いがあります。越境学習論では、外部の観察者が境界(例えば、社内と社外や自部門と他部門など)を決める。文脈横断論は、境界は学習対象者本人が意識するもので他人が決めるものではない。さらに、場合により境界は消えたり変化したりするとこことでした。例えば、他部門と交流し勉強会を何度も繰り返すと、今まで存在していた境界が消え、今度は社内と社外という境界が見えてくるなど時系列でも変化するそうです。
2つめの視点として、学習による変化を個人で見るか組織でみるか。越境学習論では、個人の変化に着目している。文脈横断論では、学習対象者が所属している組織と越境先の組織、双方の組織の変化に着目している。
共通点もあり、どちらも越境することでこれまでの個人又は組織に対する内省が深まるとのことです。
文脈横断論と紐付けて「正統的周辺参加論」や「エンゲストロームの活動理論」も紹介されました。私には少し難しかったので掘り下げて勉強が必要と感じました。

◆ワーク
社外の勉強会に参加していることを、会社の中の人に話せますか?という問いかけに関して、今回の参加者の方の反応は鈍い感じでした。社外で積極的に活動をすると社内で良い目では見られないといった意見も聞かれました。また、社外を積極的に活用している組織とそうでない組織がありそうで、それら組織のパフォーマンスの差などにも興味が湧きました。最後のワークとしてA3用紙に外に出て成長する様子を「時系列的に」絵に描くということを実施しました。三者三様でしたが、外へ出ていくきっかけ(転機の様なもの)が必ず存在していたように思えました。
     DSCF1218.JPG  DSCF1221.JPG  DSCF1216.JPG
最後に、今回のトピックわ談会に参加して、人は他者との関わり合いの中でしか成長できないとの事を再認識しました。さらに自分や組織にとって良い影響を与えてくれる他者(他組織)を見つけ選択する能力が今後は大切になってくると感じました。

開催日 2012年8月 4日 (土) 14:00~17:00
学習テーマ

「越境学習」‐職場を越境して学ぶ、ビジネスパーソンの研究

学習目標

「職場外の勉強会に参加するビジネスパーソンの調査研究」を題材に議論し、考えることで「越境学習」をより深く理解する。

講 師 東京大学大学院 学際情報学府 博士課程 中原淳研究室 舘野泰一氏
会 場

明治大学 駿河台キャンパス 紫紺館 S4会議室
千代田区神田小川町3-22-14
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

定 員 35名 ※最低催行人数5名。 開催1週間前までに、お申込人数が最低催行数に満たない場合は、中止とさせていただきます。予めご了承ください。
参加費 会員:¥2,000-(税込)   非会員:¥8,000-(税込)
開催概要

話題提供者の調査研究「職場を越境するビジネスパーソンに関する研究」を題材に、越境学習についてクラス全員で討議し、深めていきます。

1)越境学習に関する研修調査の紹介
2)「職場を越境するビジネスパーソンに関する研究」の調査結果の報告
3)調査結果に対する討議

参加者全員で「職場を越境して学ぶこと」について討議を行います。

■写真等記録情報の使用許諾のお願い
小会では、広報活動及び会員サービスの向上に活用するため、ビデオ撮影、音声収録、写真撮影、受講アンケートを実施しています。これら映像、音声、画像、コメント(以下、記録情報)は、小会の関わるWebコンテンツ及び紙媒体の配布資料等に活用させていただく可能性があります。
小会活動へのご参加は、記録情報の活用にご承諾いただけたものとさせていただきます。

支払方法と
領収書発行

■支払方法:当日会場受付時に現金支払

■領収書発行:領収書をご要望の方は、お申し込みの備考欄に「領収書要」と、ご記入ください。会社名(学校名)欄にご記入いただいた宛名で用意いたします。なおそれ以外の宛名をご希望の方は、お申し込み備考欄に、宛名を明記ください。

キャンセル
について

申込後のキャンセルは、早めにご連絡ください。開催の5日前より以下のキャンセル料金が発生いたします。なお、キャンセル料に関しては、後日請求となります。
・開催5日前~3日前のキャンセル料は、参加料の50%
・開催2日前~当日のキャンセル料は、参加料の100%
・連絡なしの不参加は、参加料の100%