2011年2月26日 (土)開催 | 基盤教育研究分科会

状況的学習論の基礎と応用:実践コミュニティから生まれる「知」

基盤教育研究分科会が、企画運営する2010年度最後のトピックわ談会の実施レポートです。


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 今回のテーマは「状況論」です。状況論について、HRDMでは過去、輪読会で、ウェンガー等の著である「コミュニティ・オブ・プラクティス ナレッジ社会の新たな知識形態」を取り上げ、話題として扱った事があります。状況論は何度学んでも良いテーマの一つであると認識しています。そのため、また取り上げることにいたしました。

今回話題提供者として、本テーマの若手研究者の香川秀太先生(大正大学 人間学部 専任講師)をお招きし実施いたしました。


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認知知主義から構成主義へ

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 わ談会は、「知」の捉え方の変遷を行動主義、認知主義、構成主義の違いの解説からスタートいたしました。解説が一段落をした後、行動主義に基づく教育、認知主義に基づく教育それぞれのメリット・デメリットを小チームに分かれてグループ討議の実施。スキナーの「プログラム学習」の利点、IDのメリット、デメリットなどを全員で再確認をいたしました。当然、話題の流れは、研修や教室での有能さを、現場や実践にどう転移させるかになります。


個人のアイデンティテイが相手との関係性を変える(状況論的解釈)

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物理的に同じ行動であっても、周囲の人や物、環境によって関係性(つながり)が変化し、有能さの意味が変わるという状況論の基本的な考え方を説明いただいた後。何故、関係性が変わるのかについて事例をあげて解説いただきました。

ポイントは、知識の有無よりも、周囲が当人へのアイデンティテイをどう理解(相手の文脈での解釈)しているかによって関係性が変わったり、固定化してしまうことです。

この説明を聞いて、思い出したことがあります。

私が前職の日本能率協会マネジメントセンターに在職していた時、営業職から開発職(通信教育講座のコンテンツ開発)に職種転換してリアルに体験たことです。

営業職として企業に人材育成の打合せでお伺いしていた頃は、重要情報を聞き出すのに大変な努力が必要でした。しかし、職種転換後、「開発」として質問すると、重要情報(人材育成を進める上での)を簡単に教えていただけるのです。あまりの変わりようにびっくりした経験があります。自分自身は全く変わっていない(知識や性格など)のに、肩書きが「営業」から「開発」に変わることで相手の私に対するアイデンティテイが変わったんですね。

考えてみれば、子供の頃に構築された親戚の伯父や叔母との関係性は、いくつになっても(いい年のおっさんやおばさんになっても)変わらないし、学生の頃の友達とは、いつ会っても学生気分(関係性)に戻れるのは、相互が有するアイデンティテイが安定的に構成されている事がその理由だったんですね。

堤個人としては、アイデンティテイは相手の認識によって規定されてしまうことによって「有能さ」が変わるということが、今回のわ談会でとても興味深い点でした。


さて現在、2011年度の活動計画の企画&検討中です(おおかた固まっています)。

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成人学習論など恒例の継続テーマの他、"OJTの構造化" "シリアスゲームを応用した研修設計"など新規のシリーズ分科会も計画しています。

どうぞ、来年度の活動にもご期待ください。

(レポート:人材育成マネジメント研究会 副理事長 堤宇一)

開催日 2011年2月26日 (土) 14:00~18:00
講 師 大正大学 人間学部 人間科学科 教育人間学専攻 専任講師 香川秀太氏
会 場

明治大学 駿河台校舎 紫紺館 S4会議室

定 員 35名
※最低催行人数:5名
開催1週間前までにお申込人数が、最低催行数に満たない場合は、中止とさせていただきます。予めご了承ください。
参加費 会 員:¥3,000-/回(税込) 非会員:¥10,000-/回(税込)
開催概要

■概 要

近年、学習論は大きな転換を迎えています。
最近、注目されているのが、人々の対話や、場(コミュニティ)づくりを通じて、知を育み、知の転用を促すLaveやWengerらの実践コミュニティ論(状況的学習論)です。
この会では、状況的学習論の理論的基礎と、状況的学習論に基づく実践的な事例を、解説いたします(理論編でも適宜具体例を取り入れて説明していきます)。
特に、職場環境、教育環境のデザインの問題や、研修と実践現場との乖離の問題について、議論したいと思います。

■学習内容
1.理論編

■学習論(実践のコミュニティ論)の基礎
“できる”の行動主義、“わかる”の認知主義、“実践する”の状況主義
「段階式・積み上げ式教育への信奉」からの脱却

■学習の転移論
学んだことはそのまま別の場面に適用できるか:マニュアルと実践の違い  成功した熟練者の経験や技術を、他人に“教え込む”ことはできるのか
ある組織での成功例を別の組織に適用する時の注意点

■学習環境のデザインと越境
正統的周辺参加論(仕立て屋、保険請求処理会社の事例を通して)
活動理論とサードスペース:
フォーマルな「講義・会議の学習」,インフォーマルな「喫煙場・飲み会の学習」,そして両者が交わる「第三の学習」

「これをやれば上手くいく」の“上から解決”の問題
部署間,組織間に引かれる境界線を乗り越えるシステム改革
“クレーム型共同体”から“共同克服型共同体”へ
2.事例編
■離職ゼロを達成した広島県マツダ病院の事例:新人の離職率80%超からゼロへの組織改革
■教育観に違いのある人々が一人の青年の更生に関わる事例

3.ディスカッション

支払方法と
領収書発行

■支払方法:当日会場受付時に現金支払

■領収書発行:
領収書をご要望の方は、お申し込みの備考欄に「領収書要」と、ご記入ください。会社名(学校名)欄にご記入いただいた宛名で用意いたします。なおそれ以外の宛名をご希望の方は、お申し込み備考欄に、宛名を明記ください。

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について

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開催の5日前より以下のキャンセル料金が発生いたします。
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・開催5日前~3日前のキャンセル料は、参加料の50%
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