2010年11月12日 (金)開催 | 基盤教育研究分科会

ビジネス質的調査入門セミナー

ビジネス質的調査入門セミナーを実施しました(2010年11月12日10:00~18:00)。
平日の金曜日にもかかわらず、うれしいことに、13名の方が参加いただきました。
  
   DSCN1787.JPGのサムネール画像     DSCN1798.JPGのサムネール画像のサムネール画像     DSCN1790.JPG 

わたしたちは、実は質的調査に慣れ親しんでいます。
インタビューや観察はマーケティングリサーチでも社内リサーチでも活用されます。
また、人事考課でも研修評価でも活用されます。
誰もが、どこかで目にしたり、体験したり、関与したりしてきたはずです。

しかし、一方で、質的調査のノウハウは体系化されてきませんでした。
質的調査の設計や分析は、職人芸と見なされる傾向がありました。
個人個人のセンスに依存するものだと思われやすかったのです。
そのため、ノウハウは暗黙的・直感的なまま残りがちです。
そうなると、ノウハウが社会的に普及されることは少なくなります。
このような現状を打破する小さな一歩になれば・・・。
そう考えて実施したのが、ビジネス質的調査入門セミナーでした。

本セミナーは3部から構成されていました。

DSCN1783.JPG
第1部では、質的調査の概要を説明しました。
まず、質的調査の具体例を紹介しました。
そのことで、質的調査に関するイメージを高めていただきました。
続いて、質的調査と量的調査の相違点は何か。
質的調査の魅力、および、実施時の注意点は何かをお伝えしました。

第1部では、質的調査の概要を、適切かつ丁寧に説明するよう努めました。
ありがたいことに、受講者から「説明が体系的で分かりやすい」とのご意見をいただけました。

第2部では、質的調査の分析手法をお伝えしました。
ここでは話を聞くだけでなく、受講者の方々には手を動かしていただきました。
DSCN1781.JPG
話を聞いているだけでは、頭でぼんやりと理解するだけに終わります。
それでは実践的なノウハウを伝達したことにはなりません。
そこで、分析手法のレクチャー後、実際にデータを分析していただきました。

本セミナーでお伝えした分析手法は、2種類です。
職場ですぐに利用できるよう、シンプルだけれども有効な手法に絞りました。
分析手法なしに、丸腰で、データに挑むのは危険です。
分析結果のクオリティに大きなばらつきが出てしまうからです。
データ分析体験の結果、受講者の方々には分析のクオリティの向上を実感していただけました。

第3部のテーマは、質的調査の設計でした。
まず、レクチャー形式で、設計に関する基本知識とノウハウをお教えしました。
次に、ワークシートをもとに、実際に質的調査を設計していただきました。
自社でいま具体的に必要な情報を収集する調査を設計していただきました。
リアリティのある調査を設計することで、設計した調査を研修後に職場で実施できます。

質的調査において、設計は重要です。
けれども、同時に、設計は最も難しいプロセスの一つです。
受講者のなかには、研修後に、設計の困難さを指摘する方もいました。
設計が困難だと認識するのは、高品質な調査を目指しているからです。
それは責任感のある感想だと思います。

設計の上手さは、経験によって学習する側面があります。
ほかの実践がそうであるように、一朝一夕に完璧な実行は無理です。
これは、今後、設計を意識することで、学習できるということも意味します。
また、質的調査を外部に委託することもあるはずです。
その際にも、設計の発想があれば、調査目的をぶらさずに済みます。
それだけではなく、効率的に必要な作業だけを委託できるようになります。

受講者の方々には、研修後に『ビジネス質的調査入門』という冊子を贈呈しました。
39頁からなる冊子です。
冊子には、本セミナーの内容だけではなく、質的調査の応用的な知識も掲載しました。
今後、質的調査がビジネスで積極的かつ意識的に活用されることを祈っています。

冒頭に述べた通り、質的調査は、ビジネスの現場でしばしば利用されます。
現在の活用場面以外でも、活用可能性のある実践もあるでしょう。
しかし、わたしは、体系的に知識を学ぶ機会がまだまだ少ないと感じています。
微力ではありますが、本セミナーを出発点に、今後も丁寧に普及活動を継続していければと思います。
そのためには、まず、わたし自身がより経験を積んでいく必要があります。
加えて、質的調査の実行者の間で、教訓を共有する必要があります。
そのことで、ビジネス質的調査の効率性や納得感を向上させることができるはずです。

                   DSCN1791.JPG                    DSCN1792.JPG

以上の通り、ビジネス質的調査入門は実りの多いセミナーになりました。
しかし、セミナーは、講師だけで構築されるものではありません。
多くの方のご支援とご協力があって初めて、実現できるものです。
受講者の方々につきましては、お忙しいところ、お越し下さいまして、ありがとうございました。
わたしは今回、講師という立場でしたが、受講者の方々から多くの学びも得ました。
本セミナーを主催して下さった人材育成マネジメント研究会の堤宇一さんには、設計の段階から対話していただきました。
この場をお借りして、お礼を申し上げます。
ボランティアでアシスタントを務めて下さった山本圭樹さんと六車聖吾さん(ともに関西大学商学部)、質的調査を巡るマクロデータの収集にご協力いただいた中本龍市さん(京都大学大学院経済学研究科)にも、感謝いたします。

       DSCN1785.JPG             DSCN1775.JPG             DSCN1796.JPG

レポート報告:伊達洋駆(だて ようく) 
         有限任事業組合ビジネスリサーチラボ 共同代表
         神戸大学大学院経営学研究科 博士課程

開催日 2010年11月12日 (金) 10:00~18:00
学習テーマ

ビジネス質的調査入門セミナー インタビューやエスノグラフィーに代表される「質的データ分析法」をビジネスシーンで活用するための方法とテクニックを理解する。

学習目標

受講者は「質的調査の長所と短所などの特徴」「質的調査で守るべき原則」「質的データの分析方法」「質的調査の設計手順」を理解し、簡単な質的調査の「設計」と「質的データ分析」ができるようになる。

講 師 神戸大学大学院経営学研究科 博士課程
有限責任事業組合ビジネスリサーチラボ 共同代表 / 伊達 洋駆 氏
会 場

明治大学 駿河台校舎 紫紺館 3階 S2会議室
千代田区神田小川町3-22 明治大学 紫紺館

定 員 15名 ※最低催行人数:3名開催1週間前までにお申込人数が最低催行数に満たない場合は、中止とさせていただきます。予めご了承ください。
参加費 会員/¥15,000(税込)  非会員/¥33,000(税込)
参加対象者

社会人経験を最低1年以上お持ちのビジネスパーソン

開催概要

インタビューやエスノグラフィーに代表される「質的データ分析法」をビジネスシーンで活用するための方法とテクニックを理解する。

<セミナー概要>
数値を統計手法によって分析していく量的調査と異なり、質的調査は言葉や行動を分析していきます。そのため、質的調査は、ある種の職人芸といった感覚を抱きやすくなります。
本セミナーでは、質的調査法の原則と構造化されたワークシートも用いることで職人芸に陥りやすい質的調査の弱点を克服します。具体的には、事例によって質的調査の原則を理解し、構造化されたワークシートを活用したデータ分析演習を行い、実践力を高めていきます。


<学習内容>
1)ビジネス質的調査の原則
第一部では、まず、質的調査の概要を説明します。そもそも質的調査とは何か。質的調査と量的調査との相違点は何か。その長所と短所は何か。質的調査の基本情報を概説し、有名な調査事例を紹介することで、質的調査に関する具体的なイメージを高めていただきます。
次に、質的調査の原則を説明します。ビジネスシーンで実施するための調査原則を、講師が過去に実施した調査事例を用いて解説していきます。


2)データを質的に分析する方法
第二部では、最初に、データの分析方法を説明します。質的調査では、一般的に膨大な量のデータが手に入ります。それらのデータを効率よく分析するにはどうすればよいか。テキスト化、カテゴリー化、要因分析などの分析テクニックを演習によって理解していきます。
また、分析者個々人のバイアス(思考の癖)を、お互いの分析結果を比較することで気付いていただきます。


3)質的調査を設計する方法
質的調査の成否は設計のクオリティで決まります。第三部では、調査設計の手順を理解します。受講者は、自分自身が興味を持つ調査テーマを題材に、講師が調査経験を通じて開発したワークシートを用いて調査設計を行います。そして、受講者同士で各ステップの成果を共有し、相互助言し合い、調査計画をブラッシュアップしていきます。

=スケジュール=
10:00~12:00:ビジネス質的調査の原則
12:00~13:00:昼食休憩
13:00~14:50:データを質的に分析する方法
15:00~18.00:質的調査を設計する方法


■写真等記録情報の使用許諾のお願い
小会では、広報活動及び会員サービスの向上に活用するため、ビデオ撮影、音声収録、写真撮影、受講アンケートを実施しています。これら映像、音声、画像、コメント(以下、記録情報)は、小会の関わるWebコンテンツ及び紙媒体の配布資料等に活用させていただく可能性があります。
小会活動へのご参加は、記録情報の活用にご承諾いただけたものとさせていただきます。