2010年2月20日 (土)開催 | 基盤教育研究分科会

「メタ認知スキル」をトレーニング! ~脳波フラクタル解析バイオフィードバック装置&コーチング~

テーマ 「メタ認知スキル」をトレーニング!
~脳波フラクタル解析バイオフィードバック装置&コーチング~
開催日時 2010年2月20日(土)/14:00~17:00
会 場 エスプール総合研究所 研修室
参加者 35名
講 師 株式会社ネクストブレイン研究所 代表取締役/畑田敏雄氏
ナビゲーター 堤 宇一 人材育成マネジメント研究会




■実施報告(HRDM:中川繁勝)

2009年度最後のトピックわ談会は30名を超える大盛況でした。
私たちの予想を超えて、「メタ認知」に対する関心の高さが明らかになりました。

今回のトピックわ談会は、株式会社ネクストブレイン研究所の畑田敏雄氏をお迎えして、畑田氏が長岡技術科学大学と共同で行ってきた研究の成果の一部をご披露いただきつつ、メタ認知および畑田氏が提唱するメタ2認知についてお話をうかがいました。


●メタ認知とは?

「メタ認知」とは、自分の認知を認知すること。認知とは、身体感覚、感情、思考プロセス、価値観などを指します。よってメタ認知とは、自分が感じたり考えたりしていることを自覚することを言います。

「今自分はこう考えているけど(認知)、それってかっこ悪いよなぁ(メタ認知)」というのがメタ認知です。

メタ認知が注目されるのは、人が学習するためのからくりだからでしょう。それはダブルループ学習(Double-Loop Learning)という名で呼ばれています。行動し、そこから得られた結果から、自分の思い込みに気づいたり、暗黙の前提が崩れたりすることで、新しい 考え方や見方を得て、再び行動、そして結果をえるという流れを指します。シングルループは行動した結果から改善活動である次の行動へ回していきますが、ダ ブルループ学習では単なる改善活動ではなく、それそのものの考え方や枠組みの見直し、すなわち根本的なところからの改善を行います。

このメタ認知によるダブルループ学習が効果的に行われれば、研修や現場での活動においてもめざましい学習が為されると考えられます。

いかにしてこのダブルループ学習を引き起こすかということは、私自身を含め人材育成にたずさわる皆さんには非常に興味深いところです。


●メタ認知の測定

これまでメタ認知を定量的に測定する技術はありませんでしたが、畑田氏は長岡技術科学大学との共同研究により世界で初めて脳波から「安静」「メタ認知」「メタ2認知」の認知モードを判別する手法を開発し、特許出願したということです。

今回はその様子をグラフ化されたフラクタル次元での表現と、その他のいくつかの画像や動画により、認知モードの切り替わっている様子を見ることができました。
これは貴重な映像でした。それぞれの認知モードにおいて脳のどの部分が活性化されているかが見えるのです。非常に興味深いものでした。


●メタ認知を効果的に活用するために

この測定は、ダブルループ学習を引き起こすことのできるメタ認知をもっと効果的に使えるようにするための研究の一環とのこと。畑田氏はバイオフィードバッ クという方法で、いま自分がどの認知モードにいるかを被験者に伝えることで認知モードの切り替えスキルを向上させようとしているのです。

どのような手続きを経てモードチェンジをするのか。メタ認知コーチとしてそのルーティンを一緒に作り、速やかにモードチェンジし、メタ認知あるいはメタ2 認知モードに入ることで、フロー状態やゾーンに入りやすくする方法を模索しているわけです。いつでもどこでも気づきと学びが起こりやすくなるのではないか と考えているわけです。


●メタ2認知とは?

メタ2認知とは、メタ認知状態をさらに進化させ、認知対象の時間的広がりと空間的広がりを持たせたものを認知対象として捉えた認知をいいます。もう少し簡単に言うと、自分を取り巻く環境の捉え方が拡大する、と言えます。

どうやって拡大させるか。わかりやすいのは身体性の拡大です。言い換えれば一体感。
例えば、お箸を持つとお箸は自分の一部のように感じられ、お箸の先にある食べ物が対象物となります。この時点でお箸は自分の「ウチ」の領域に入ってきます。つかもうとしている食べ物は「ソト」にあることになります。これでちょっと環境が広がったわけです。

野球のバッターに取ってはボールはソトですが、バッターボックスにいる時にはバットは自分のウチに入ります。バッターの意識はバットではなくボールにあります。
車に乗れば、ドライバーにとって車はウチに入り、車の外側にあるものがソトとなります。
スポーツでチームの一体感を感じている時、チームがウチになります。スタジアムとの一体感を感じている時にはスタジアムの中全てがウチになります。満天の星空を見れば、宇宙をソトと感じ、地球を含めた自分をウチと感じることができます。

そうやって身体性を広げて認知するのがメタ2認知なのだと畑田氏は説明していました。
広がったウチの中は心的安全空間であるので、心が落ち着いてパフォーマンスも高めやすいのでそうです。


●脳を使いこなす

メタ認知やメタ2認知によって、私たちはパフォーマンスを高めることができるということです。
畑田氏は説明資料の中で、脳みその上に乗った男が脳をまるで乗り物のように乗りこなしているような写真を示してくれましたが、まさに認知モードの切り替え がうまくできて、思い通りのパフォーマンスを発揮できるようになれれば、写真が表すように脳を乗りこなすように自分を動かしていけるというわけです。



多くのスポーツ選手がこのような分野の研究のお陰で、自らの心をコントロールして肉体的にも高いパフォーマンスを発揮して結果をだしています。

「チームの心を一つにする技術」の著者である村田祐造氏を引き合いに出し、ラガーマンであった彼が競合相手との試合において「感謝する」という方法で身体 性の拡大を図りメタ2認知状態に入っていったようすを紹介してくれましたが、これは具体的でおもしろい事例でした。村田氏がメタ2認知モードに入るための ルーティンは、心からの「感謝」だったのです。


●未知なる力を使って

畑田氏の研究はまだ途上であり、説明しきれない部分もまだまだあります。
ですが、証明されているかどうかは別にして、自分を振り返ることでなにやら学びは促され、場合によっては加速し、村田氏のように肉体的なパフォーマンスも向上することがわかってきています。個人的にも自分の身体性の拡大によって驚くべきパフォーマンスを経験しています。

人間はその能力の10%も使っていないと言いますが、メタ2認知によって私たちの能力はより高く発揮されそうですし、人材育成においても研修の場や仕事の現場で発揮されるようになれば、私たちはより効率的かつ効果的にスキルアップを図れるのでしょう。

畑田氏のこれからの研究に期待すると共に、私たち自身で臨床実験を繰り返しながら、未知なる力を引き出せるようになっていきたいと思いました。私のメタ2認知モードへの必要なルーティンは何なのか、探ってみたいと思います。


(報告:HRDM理事 中川繁勝)
開催日 2010年2月20日 (土)