2009年11月28日 (土)開催 | 基盤教育研究分科会

長期プログラムの設計‐Ⅱ

テーマ プログラムの設計‐Ⅱ 長期プログラムの開発
開催日時 2009年11月28日(土)/14:00~17:00
会 場 明示大学 駿河台校舎 紫紺館
参加者 14名
講 師 東海大学 チャレンジセンター 講師/堀本麻由子氏
話題提供者 (株)日立総合経営研修所 HRDスペシャリスト/柳美里氏
ファシリテーター 堤 宇一 人材育成マネジメント研究会




■実施報告(HRDM:神本)

● 分科会の進め方
  7月から開始しました本分科会もいよいよ最終回の第6回目となりました。
  前半3回は経験学習の理論を「学ぶ」をコンセプトに進めてきました。後半3回は
  理論を実際に「展開」するコンセプトで、第5回、6回は(株)日立総合経営研究所の柳美里氏から事例提供を受け改善企画を作成しました。
今回最終回は、A監査法人のA氏から事例提供を受けて専門職の「経験から学び」をテーマに成人学習理論から事例についてグループワークで問題(問い)を設定し、A氏に結果をプレゼントする。


● 事例を丁寧に聴くために(堀本さん)
  第4回の時も説明しましたが、事例を聴くに当たっては、下記の観点で進める。
① 学習者(Learner)、 判断者(Judger)の思考と態度があるが、今回は判断者として聴いてほしい。
② 学習するマインドセットとして
・相手の考え、感情、状況をジャッジしながら対応をしない。
  ・自分の役割だけに固執しないで、外部観察者、研究者的な役割を意識する。
  ・複眼的、多面的に状況を見る。
  ・自分、相手に対して寛容であること。


● Aさんの事例発表(Aさん)

  テーマ:公認会計士の熟達化にはどのような仕組み作りが有効か?

① 問題意識
   ・入社スタート時点では、一定に素養を持ち合わせているものの、その後の熟達を左右する経験は何か?
   ・ 経験から学ぶ際に効果的な振り返り方法とは、どのようなものか?
   ・研修の場における、振り返りでは、どのような方法が有効か?
②熟達者とは何か
   ・ 担当している業界・業種に関するなど特定の分野に関する理解を究め、第一人者として、広く認められている。 
   ・ 会計・監査上のリスクへの影響に対する直感の感度が極めて高い。
   ・ 複数のエンゲージメント(監査の管理単位)を、もっとも効率よく運営する業務管理能力を発揮している。
③熟達者をはぐくむ組織とは?
④公認会計士のキャリアパスの例
⑤A監査法人の研修体系
  の説明があり、
  「経験を振り返る仕組みについて、どんな仕組み作りが有効か」との悩みの提起があった。


● 成人学習から事例を考える(堀本さん)
① 専門職の分類
  メジャーな専門職、マイナーな専門職の説明があり、知識の量、経験の量等で分けられている。また、専門職は、経験を振り返る学習が苦手である。シングルループ学習に偏りで、ダブルループ学習が苦手。
② 職場の「経験をふり返る」学習を支援する
・  道具的学習(How to学習)に対する注意:シングルループ学習
・  コミュニケーション的学習の必要性:自分を客観的に観る
・  個人の意識変容学習の支援:省察的に、批判的に経験を振り返るプログラムデザイン
  この説明があり、


● グループワーク
進め方の説明を受け4つのチームに分かれてグループワークに入る。
① Aさんの問題意識の確認
② メンバーの前提の共有
③ 全員がAさんの問いを設定しグループとして1つの問いを設定
④ 4つのチームで順に発表し、Aさんに問い(問題)をプレゼント。


● Aさんのコメント
・もやもや感があるところを皆さんのコメントで、少し焦点が絞れてきた。
・ここ数ヶ月は、研修を実施している意味に疑問を感じていたが、皆さんから多数の指摘をいただき嬉しく思う。
・「自己成長を促し、クライアントからも信頼され、社会人として一人前」になるための研修開発に周囲を巻き込んでチャレンジしたいと思う。

 
●まとめ(堀本さん)
「(おとなが)経験から学ぶ」とは、今まで身につけてきたもの(経験)を意識化し、言語化し、対話を通じて明確にし、その過程で意味を再確認すること・・・と考えています。これは一人ではなかなか出来づらいことです。

今回のシリーズ分科会を通じて「どんな場合に、どんな風に・・・いつやるか」など学びを支援する事について考えていただく機会になったなら嬉しく思います。 6回の内容を実践で試し、少しずつ消化して頂ければ嬉しいです。


● シリーズ分科会の総括(堤さん)

 第3回は木村さんの実践事例、第4回&5回は柳さんの研修改善の実践、今回の第6回は、Aさんの事例に基づく研修改善と進めてきました。理論を実践に適用することを意識して実施してきました。いかがだったでしょう。

一般に研修に代表される現場を離れての学習の場での学びは、20%程度しか学べない。他の実務を通じての学び70%とか80%と言われています。実践スキ ルや実務ノウハウはそうでしょう。しかし、実務を猛スピードで走りながらでは、出来事の意味を深く捉え、自分を見つめ直すという学びは、逆に難しいのかも しれません。
おとなの学びにとって、経験をマネージメントするが大切と言われます。経験をマネージメントするとは、一体何をする事なのでしょう。

まさに、今回の振り返り、経験を省察する、他者と対話するといったことが、その一例ではないでしょうか。どう自分の中で、意味づけし、学びを個人の知恵としてデータ・ベース化することが経験のマネージメントだと思います。

今回「経験学習」を題材にして、堀本さんと共に歩んでまいりました。今回のシリーズ分科会が、皆さんにとって、成人学習を理解するための心地よい機会であったなら、本企画を進めてきた者として、とても幸せです。
開催日 2009年11月28日 (土)