2009年9月19日 (土)開催 | 基盤教育研究分科会

「成人学習理論 」米国リーダーシップの5トレンドから見える、管理者にとっての「ふりかえり」の重要性を考える

テーマ 成人学習理論
~米国リーダーシップの5トレンドから見える、管理者にとっての「ふりかえり」の重要性を考える~
開催日時 2009年9月19日(土)/14:00~17:00
会 場 エスプール総合研究所 研修室(浜松町)
参加者 27名
講 師 株式会社日本能率協会マネジメントセンター HRMコンサルタント/渡辺京子氏
ナビゲーター 堤 宇一 人材育成マネジメント研究会




■実施報告(HRDM会員:坪内 弘毅)
今回のトピックわ談会は、日本能率教会マネジメントセンターのHRMコンサルタント渡辺京子さんをお招きし、以下のテーマで事例紹介を実施していただきました。

 1. 米国リーダー育成におけるトレンド
 2. 忙しく悩める管理者を支える「振り返り」
 3. 主体的なリーダーへの成長モデル
 4. 振り返り、学び、主体性を発揮するリーダーを育てるためのアプローチ

米国生活が長く、コロンビア大学で成人学習の修士号を取得された渡辺さんの視点は、とても斬新でかつ新鮮な内容でした。私自身も参加させて頂いて刺激を受けるだけでなく、様々な視点付与、学習モチベーションの向上を強く実感した3時間でした。


●米国を取り巻く環境とキーワードとは

米国を取り巻く環境を、大きく以下の5つのポイントで渡辺さんよりご紹介いただきました。

1. 経済危機:
   高い失業率 ⇒ コスト削減、短期指向の傾向

2. 人口構成の変動:
   ヒスパニック系、アジア系の台頭 ⇒ 今後も加速していく

3. 多様化:
   人種、国籍、性別、嗜好、世代(ベビーブーマー、X世代、Y世代) ⇒ 特にY世代の台頭が顕著

4. 急速な変化、問題の複雑化: 
   問題解決が一人では不可能に ⇒ 問題解決の主体が「私」から「私たち」へ

5. グローバル化:
   欧米中心(政治、経済)から中国、インド、ロシア、南米、アフリカの参加(政治、経済、民族、宗教)

※米国9・11テロ以降、米国自身が欧米中心の考え方を見直す動きも・・・

そのような中、米国人事・教育担当者の関心事項は、「いかに混沌とした社会、あいまいな世界、グローバルな社会でサバイバルできるのか」ということに向 かっており、着目する主なキーワードとして"包括的"、"多様な価値観"、"協働"、"理論と実践の融合"、"継続的な学び"が挙げられました。厳しい現 状に向き合いながらもグローバル化の大きな流れの中で「いかに未来を切り拓いていくか」という前向きな考え方がベースにあると思います。


●米国リーダー育成の大きなトレンド 「振り返りの重視」

渡辺さんは米国リーダー育成の大きなトレンドとして「振り返りの重視」があることを指摘しておられました。複雑化する経営課題に対応し、変化の時代には、 知識・スキルはすぐに陳腐化していきます。複雑で変化の激しい状況下で、日々成長を続けるには、「学習する力」が重要であり、常に学習を続けるめには、日 々の行動の「振り返り」が効果的であるという考えに基づいています。

講義の中では、トップビジネススクールの代表格であるハーバードBSのエグゼクティブ教育プログラにも触れて頂きました。ジャンルとしては今年のHRDM でも着目している長期的なアクションラーニングプログラムであり、「本人の考え方の変化を起させる」ことを目的としてグランドデザインされたマネージャー 開発プログラムになります。設計にあたっては、行動変容や気付きには時間が必要との前提に基づき、「長期的に考える研修」を基本コンセプトとして、5つの モジュール(基礎スキル、診断スキル、知識の応用、実践、振り返り)で構造的に構成されているとのことです。

従来の知識教育重視では、環境変化の激しい現在で結果を出すマネジメント育成が進まないとの反省が進んだ結果と思われますが、イメージとしては、従来のプ ログラムの「進化系」であると推測されます。前半部分で基礎学習(考え方&知識・スキル)を実施し、実際に実践してみる。その結果、「知っていることとで きることの違いを知る」とともに、実践を経た振り返りを行うことで、「より現実を踏まえた実践的な成長」を実現する。

自分に当てはめてみても非常に納得感の高い考え方に基づいて設計されたプログラムだと思います。「失敗体験」は、自分自身の課題を気付かせてくれ、失敗か ら学んだ教訓が「血肉」した暁には、確実な成長をもたらしてくれます。「成功体験」は、自分を鼓舞する自信や新たなる未来を切り拓いていく勇気を与えてく れます。


「経験を振り返る」ことは、その時に起きていた本質的事象やアプローチを分析することにつながり、失敗を回避するためのポイントを学習するだけでなく、成 功の再現性を学習することができます。(失敗・成功に限らず)全ての体験を振り返り「学習」と読み替えていく、そのような「学習に対する捉え方」は今後ま すます重要になってくるでしょう。


●リーダーの成長モデルと「振り返り」の活用

最後に渡辺さんは、リーダーの成長モデルをご提案していただきました。内容としては、大きく以下の通りです。

<リーダーの成長モデル>

 二元的リーダー ⇒ 多元的リーダー ⇒ 状況・相対的リーダー ⇒ 意思決定するリーダー ⇒ 主体的リーダー 

 ※その成長のキーが「振り返り」

詳細は割愛いたしますが、ここでのポイントとしては、主体的リーダー(定義:意思決定したことに主体的に関与し、実現に取り組む)を最終ゴールとして、リーダーの成長は段階的に進むという点です。その成長のキーが「振り返り」にあるという訳です。

非常に興味深い考察です。「振り返り」を実施することで、各フェーズにおけるリーダーとしての視点を拡げ&成長を実現していきます。 リーダー育成を組織としていかに進めていくか、多くの人材開発担当者が頭を悩ませておりますが、実は答えはシンプルなのではないかと感じました。恐らく以 下のようなポイントになるでしょう。

<<リーダー育成の考え方>>

 ・どんなリーダー像を育成していきたいか? ( = Vision, Goal )
 ・どのような成長ステップを歩むのか? ( = Step, malestone)
 ・そのステップを実現するためには、具体的に何をすべきか? ( = How)
 ・育成を効果的に進めるには、何が重要なのか? ( = Key factor)

本日の講義の中で、重要なヒントが得られたと感じております。 人材育成って、やはり奥深いですね。改めて自分自身のモチベーションが高まるのを感じました。


●まとめ

今後の人材開発の大きな方向性として「振り返り」がますます重要になってくることは間違いないと思いますが、具体的な育成の手法として、具体的にどのよう な「振り返り」を進めていくのがより効果的であるかを検討していくことが重要になってきます。それに対して、大きな示唆&人材育成担当者への勇気を与える 今回の内容であったと強く感銘を受けました。「振り返り」は今後もますます考えていきたいテーマです。


(報告:HRDM会員 坪内 弘毅)
開催日 2009年9月19日 (土)